出版社内容情報
戦前・戦後にわたる
インテリジェンスを解明する
初めての通史
日本の内閣情報機構は公的情報が少なく、内部証言も断片的だったため、これまで実態が未解明だった。本書は一九三六年に情報委員会が設置される前夜から、動揺する国際秩序への対応を迫られた一九七二年頃までの実態を、この間の情報機関に深く関わった三人のキーパーソン、横溝光暉、吉原公一郎、志垣民郎が残した資料と証言をもとに描く。政府寄りの世論形成に取り組み、時には他省庁の取り組みにくい政策課題に自らの存在価値を見いだした内閣情報機構の実像に初めて迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
25
公的情報が少なく内部証言も断片的で、これまで実態が未解明だった日本の内閣情報機構。戦前戦後にわたるインテリジェンスを解明する通史。1936年に情報委員会が設置される前夜から、動揺する国際秩序への対応を迫られた1972年頃までの実態を、深く関わった3人のキーパーソン、横溝光暉、吉原公一郎、志垣民郎が残した資料と証言で掘り下げていて、左翼運動や共産主義、60年安保など、当時の時代性が色濃く反映されていると感じながら読んでいましたが、あの手この手で政府よりの世論形成に取り組んでいたことが伺えて興味深かったです。2025/05/05
辻井凌|つじー
2
「内閣情報機構に見る日本型インテリジェンス」という副題にひかれた。インテリジェンスには情報や諜報の意味があり、スパイの世界も当てはまる。インテリジェンス!いい響き! スパイというと派手なイメージを連想するかもしれない。でも本書に書かれているのは内閣の下で行われる地道な情報分析の世界であり、どうにかして組織の役割や居場所を確保しようとする官僚たちの世界だ。 https://note.com/nega9clecle/n/n767b8782c0172025/04/14
KK
1
通史と標榜している通り、戦前戦中戦後の断片的な記録にインタビューや日記で穴埋めをし、膨大な資料的価値も有する作品になっている。ある程度の知識があると仔細な情報、インタビューの機微が分かり易いのかもしれない。菊池寛が情報と文芸について語るところが興味深く、庶民の受け止め方にまで範囲を広げてもらえると読みやすさが増すとも感じた。2025/06/30
みんな本や雑誌が大好き!?
1
単なる情報蒐集だけではなく情報発信としての機関(さらには謀略機関?)として、1936年に情報委員会が設置されたそうですが、そうした組織の結成や運営などに深く関与した横溝光暉、吉田茂、緒方竹虎、曾野明、村井順、大森義夫、春日井邦夫、志垣民郎らが残した資料や証言や手記などをもとに、外部からのダレスやウィロビーなどの関与や松本清張や吉原公一郎などの内調告発などがどう交錯していったかなど、さまざまな角度から日本のインテリジェンス機関の萌芽から今日までの歩みが綴られていました。2025/05/16
takao
0
ふむ2025/06/26