出版社内容情報
歌舞伎町で路上売春をする「普通」の若い女性が急増したのはなぜか。当事者たちのほか、彼女らを支援するNPO、ホスト、警察など多角的に取材、素顔に迫る。
内容説明
2022年の晩秋、歌舞伎町の一角で「立ちんぼ」をする若い女性が急増した。「たちんぼ」とは路上売春のことだ。風俗店で働くのとは違い、買春客に金を奪われたり、ラブホテルの密室で暴力を振るわれたりといったリスクがあるにもかかわらず、彼女たちはなぜ路上で「売る」のか。毎日新聞社会部記者が、60人以上の女性たちのほか、自分たちに貢がせようとするホストたち、彼女らを支援し続けるNPO、路上売春を取り締まる警察など、100日以上にわたって多角的に取材、その「リアル」に迫ったルポ。
目次
第1章 歌舞伎町の「立ちんぼ」スポット
第2章 彼女たちのリアル
第3章 ホストの沼
第4章 手を差し伸べる
第5章 取り締まりのジレンマ
第6章 彼女たちはどこへ行くのか
著者等紹介
春増翔太[ハルマシショウタ]
1984年神奈川県生まれ。植物学を専攻していた大学院を中退し、2009年に毎日新聞入社。甲府支局、盛岡支局、社会部、神戸支局を経て、21年から再び社会部に所属。各地で警察を担当し、事件・事故取材に携わった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
126
昭和の末、新宿から新大久保の一帯には東南アジアや中南米から来た娼婦が群れていた。令和の同じ場所に日本人女性ばかりなのは、平成の30年間で日本が貧困化した証左だろう。しかし、あえて身を売る女たちに「なぜ孤独を恐れるのか、自分を低評価するのか、忍耐を拒むのか」と問いたい。少なくとも外国人娼婦には金持ち日本で稼ぎ、本国の家族を養おうとする強い覚悟があったが、今立っている女は孤独を嫌ってホストに貢ぐため売春し、それを幸福と感じるほど自らを貶め、脱け出すため必要なガマンを嫌がるのか。破滅を望んでいるとしか思えない。2024/02/07
kinkin
86
新宿歌舞伎町周辺で「立ちんぼ」と呼ばれる娼婦たちに目を向けたルポ。以前からは外国人が多かったたが今では日本人が多いようだ。どうみても未成年と思われる女の子から、熟年層まで。手っ取り早く現金が手に入ることが増加なのか。その現金は彼女たちの ホスト狂いに使われる事が多い。2万円から3万円くらいまで、時には2万円を切るときも。避妊をせずに妊娠しても中絶の費用がなく困る女性、性病の感染、 客からの暴力まで。著者は女性にインタビューをしていくが 国会議員がネコババ、税金未納をする国がどんどん堕ちてゆく。図書館本 2024/04/21
どんぐり
80
歌舞伎町の新宿区立大久保公園周辺の「立ちんぼ」スポット。夜の公園に集まり、男から声をかけられるのを待つ女性たちを追ったルポ。コロナ禍の2020年頃から、路上に立つ女性たちが目につくようになったという。家庭環境の問題から逃れようと東京に出てきて、ネットカフェで寝泊まりして、男を見つけては売春で金を得る。やがてホスト通いが始まり、ホスト依存の金策と売春の悪循環から抜け出せなくなっていく。そんな子たちが登場する。→2024/09/16
GAKU
42
親に愛された事が無い。まともな家庭というものを知らない。そんな娘達がホスト、ホストクラブに愛や家族を求め、結果売掛金を背負う。そして売春へという負の連鎖。単に補導して、「売春はいけない」だけでは解決しない。このような現実があるという事に、暗い気持ちになります。2024/04/08
まゆまゆ
15
路上売春のために男を待つ女性の実態や背景を探るルポ。貧困や虐待といった家庭背景もあるが、これまでの自分をリセットして一からやり直せる、というような雰囲気がある歌舞伎町という街の力みたいなものもあるんだろうか。自立に向けては一人ひとりに寄り添った対応が必要だが、多すぎて支援の手が回らないのが実態のよう。2024/03/28