出版社内容情報
実用文と複数資料を扱う「大学入学共通テスト」の構造的欠陥とは。論理と文学を切り分けた「新学習指導要領」の行方は。歪められつつある国語教育の未来形を考える。
内容説明
新学習指導要領の告示から約二年経ち“戦後最大の改革”の中身がようやく見えてきた。「論理」と「文学」を切り分けると何が起きるか。今後の高校教育の方向性を示す「大学入学共通テスト」が扱う「実用文」「複数資料」の持つ構造的欠陥とは。この間に刊行された指導要領の解説本や、共通テストの試行調査から読み解く。好評既刊『国語教育の危機』の続編。歪められつつある国語教育の未来形を探る。
目次
第1章 記述式試験の長所はどこに―プレテスト第1問の分析
第2章 複数の資料が泣いている―プレテスト第2問の分析
第3章 教室の「敵」はどこにいる?―「学習指導要領」の逆襲
第4章 「現代の国語」と「言語文化」―高校一年生は何を学ぶのか
第5章 選択科目のゆくえ―間延びしたグランドデザイン
第6章 国語教育の原点に立ちかえる―ことばの教育へ
著者等紹介
紅野謙介[コウノケンスケ]
1956年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程中退。麻布高等学校教諭を経て、日本大学文理学部教授、学部長。専攻は日本近代文学。メディア環境や多様な文化の広がりの中で文学を捉える試みを続けている。筑摩書房高等学校用国語教科書編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
88
種をまき丁寧に育てる、そんなふうに待てなくなってるのかな。学習指導要領のことは報道でしか知らないけど、ここまでアウトプットに寄っているとは。実用的文書で必要な情報を確認するのも、話し書くことの重要性も否定しない。ただ、表現の訓練をいくら重ねても、語るべき何かを持たなければ意味はない。わかりやすい結果だけを求めれば、そこは例外なくやせ細る。指導要領でこだわってる複数資料を比較し論じることが大切なら、労働基準法と就業規則、労基の指導文書と判例でも並べてみればみれば?日本国憲法も。社会に出ればすぐ役に立つよ。2020/05/31
佐島楓
79
学習指導要領の指導計画を読み、現場の先生方は頭を抱えていらっしゃるだろうなという思いを持った。この通りに指導しようと思ったら時間がとても足りないだけでなく、国語嫌いの生徒を増産してしまうだろう。要するに現実に即していないのである。それになぜ文学を読み込む授業を排除しようとしているのか。おそらく文学に救われた経験がない方々が作成した「案」なのだろう。不幸なことだと思う。2020/01/30
万葉語り
38
大学入学共通テストと学習指導要領の改革で、何をすればいいのか、このままでいられないのはわかっているが、何をどう変えればいいのか。お上の言うがままになったら、今までの自分を見失いそうだと思っていたが、紅野先生に背中を押してもらった気がした。2020-0292020/02/17
きいち
37
読み聞かせのボランティアで学校に出入りしていて驚いたのが、いまの子どもたちが小学校や中学校で受けている国語教育は、40代50代が受けてきたものとは大きく違っていること。現場を知らないオッサンたちの思い込みとは真逆で、とてつもなく、「よく」なっている。全員ではないけれど、主体的な気付きや多様な読み込み、対話を促す授業をしている先生も多い。◇そして、「改革」の目指すところは同じ、なのになぜ、指導要領の解説書やプレテストの言葉たち、授業案が、こんな貧しいものになるのか。彼らも善意で動いている、それが怖い。2020/04/11
kei302
36
記述式試験の導入が見送りになった。記述式ありきで進めてきたしわ寄せは受験生に。導入を急かしている人たちの身辺を地検特捜部に洗ってほしい。学校のパソコン関連から始まったベネッセの教育産業への食い込み方は異常だ。小学校のプログラミング授業もあやしいと常々思っております。 NetGalleyJP2020/01/08
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