内容説明
平成の30年間で日常生活に欠かせないものになったインターネットだが、アンダーグラウンドな世界も広がっている。出会い系サイトやSNSによる売買春、ネットストーカー、仲間を募った集団自殺。裏サイトの誹謗中傷やいじめ、闇サイトの違法・脱法ドラッグ売買。しかし孤独の沼に沈む人にとって、そこはライフラインでもある。誰が読むともしれない日記をつづり、自殺志願者が語り合う。顔が見えないからこそ、本音をさらけ出せる居場所になる。新しいメディアと個人のかかわりを取材するジャーナリストが、その背景と変化を追う。
目次
序章 匿名性と悪意
第1章 ネット時代前、あるいはネット以外の出会い系
第2章 孤独と欲望が渦巻く出会い系サイト
第3章 SNSは孤独な心情を映し出す
第4章 ネットいじめと生徒指導
第5章 死にたい感情が交差する自殺系サイト
第6章 リアルタイムメディアが映す孤独
著者等紹介
渋井哲也[シブイテツヤ]
1969年栃木県生まれ。ジャーナリスト、中央大学文学部講師。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻博士前期課程修了。元長野日報記者。主にネット事件、自殺問題、若者の生き方、サブカルチャー等を取材。98年から、ウェブと生きづらさをテーマに取材を進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
157
平成における通信技術発達、携帯電話、インターネット、携帯電話のネット化、SNS、そして動画配信を背景に「男女の出会い」「変化した大衆コミュニケーション」「共通テーマでのコミュニティー」「変化した個人アピール」のそれぞれを実際の事件から論じる。社会の情報が、規制や偏向なしに直接個人まで届く時代で、これまでの人間社会構造を変化させている指摘には同意。しかし紹介する多くの事件の動機は極めて利己的で、それらが通信技術を原因とする表現には説得されなかった。いつの時代にも良し悪しはともかく多様な人間がいるのではと。2019/11/16
HANA
65
平成の元号が発表された時の事は幼いながらも覚えているが、あれから三十年、情報化社会やネットはとんでもない速度で高度化した。本書はテレクラから出会い系、SNSいじめから自殺系と、それぞれ闇の部分と共に俯瞰できるような内容となっている。元新聞記者らしく事件に関わる人間に取材して具体例を挙げているのもポイント高し。通史だけではなく、個々にジャンル分けされているのもわかりやすくなっている。本書を読んでいると、誰もが抱え込んでいる生き辛さとかが発表の場を得て表面化したようにも思える。ネット以前はどうだったんだろう。2019/12/02
fwhd8325
54
インターネットの普及は、確かに様々な常識を変えていったのだと思います。しかし、普及すればするほど息苦しく感じるのは私だけなのでしょうか。普通に生活する中で、どうにも暮らしにくい、何も関わりたくない人たちなのに、妙な距離感を感じてしまう。インターネットがもたらした犯罪が、ここに描かれていますが、犯罪を犯した当事者でさえ、ネットが理由ではないと語っている事件もあります。ネットがと言う括りに少し違和感を感じながら読みました.ああ、いやな時代になった。2019/11/29
澤水月
18
座間事件白石への接見から始まる。「ピエール瀧さんの記事も読みましたが、ひどい内容ですね。本人が読んだら自殺しても不思議じゃない」!ここから監禁王子、河内長野ゴスロリカップル親殺し、アキバ加藤、三鷹リベポルなどが並ぶ。基本は浅く概要網羅という感じだが、最終盤のネットが結ぶ自殺、自殺配信などの章は息詰まり圧倒される。報道された事件で何らかの事情ではぐれ生き残り、通報した人で幾たりかはその後自殺を遂げてしまっていた(著者が取材した人もいる)。終盤にまた出る白石の言葉が異様に軽々しいまともさなのが却って恐ろしい…2019/11/14
まゆまゆ
17
平成時代に起こったネットをきっかけとした犯罪の紹介とその裏にある人々の生きづらさにスポットをあてて紹介していく内容。出会い系からいじめ、自殺希望まで、ケータイからスマホへと変遷するなかでそれらの手段もネットからsns、アプリと変わっていく。第4の居場所としてネットが使われることは決して悪いことではないけど、悪意のある人から逃れられるかどうかは結局自分次第、なんだろうか……2020/02/04
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