出版社内容情報
時代とともに進化し続ける言語学。国家戦略、AI、滅びる言語、…現代に即した切り口も交えことばの研究の起源から最新言語学まで、全体像と各論点を学び直す。
内容説明
言語学の全体像を俯瞰しながら、興味深いところや重要な分岐点にさしかかっている議論、新しい枠組みと変化しつつあること、古い知識をどう更新すべきか悩ましい問題などを、一見ランダムなやり方で取り上げることで、「言語学の今」を浮かび上がらせる。
目次
第1章 言語学の現在地(社会言語学と多様性研究;社会言語学と差別の問題 ほか)
第2章 言語学をいかに役立てるか(接触する言語とクリオール;語用論の使い方 ほか)
第3章 近代言語学を読みなおす(近代言語学の誕生;ことばをタイプ別に区別していくために ほか)
第4章 記述言語学の技法(言語学は自然科学だ;「正しい日本語」という呪縛 ほか)
第5章 社会言語学から複雑系言語学へ(言語学の表舞台とバックステージ;ソシュールという里程標と亡霊 ほか)
著者等紹介
加藤重広[カトウシゲヒロ]
1964年青森県生まれ。東京大学文学部言語学科卒業、同大学院博士課程修了。文学博士。専門は言語学(統語論、語用論)。富山大学人文学部助教授などを経て、北海道大学大学院文学研究科言語文学専攻教授。著書に『日本語修飾構造の語用論的研究』(ひつじ書房、第22回新村出賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
55
学校でさらっと勉強し、忘れかけた知識を補強するために手に取った。面白いトピックが多く、専攻したい学生は読んでみると参考になると思う。日本語も超長期的に見ると消滅の可能性があるということに戦慄した。2019/03/15
南北
25
言語学の新しい知見について横断的に書かれた「概論」です。複雑系言語学や言語死などが取り上げられています。今後は細分化した学問分野を再編成すべきだと指摘しています。ただし入門書ではないので、従来の言語学についての知識をある程度持っている人でないと難しく感じるのではないかと思います。2019/07/18
さとうしん
13
言語学の講義というよりも、言語学にまつわるエッセー集という趣き。第3章の印欧語族というくくりが設定された経緯など、近代言語学の成立史が最も参考になった。本書で繰り返し言及される言語学研究者の記述的態度と規範的態度の問題は、先日読んだ『社会学史』で触れられている社会学者は「天使としての立場」に満足できるかという問題とも通じ、人文社会学系のすべての分野で問題になることではないかと思う。2019/04/03
Gamemaker_K
12
言語学の現在地がざっくりわかる一冊。複雑系言語学って絶対面白いだろ。生まれ変わったら、それを専攻しよう。なんか人間以外のものに生まれ変わりそうだけど。…学生の頃は言語習得に興味があったんだけど、もう少しきちんと修めとくべきだった、とこの手の本を読むたびに後悔する。2019/05/01
amanon
11
タイトルにあるような講義録という体裁はとっていないが、現代言語学のざっくりとした見取り図と言っていいかもしれない。著者自身、後書きで述べているように、言語学と一口に言ってもあまりに多岐に渡っており、言語学者同士でも話が通じないことがある程とのこと。そう考えると、ここまでコンパクトに現代言語学のあらましをわかりやすくまとめたというのは、ある意味驚異かもしれない。個人的にとりわけ驚かされたのは、現代ヘブライ語構築の過程。一旦失われた言語をほぼ一から形作って現代人の使用に耐えるものにしたというのは殆ど驚異。2023/12/29