出版社内容情報
オスプレイ機は「不時着(読売・産経)」したのか「墜落(沖縄紙)」したのか――。偏向、分断、ヘイトが生まれる構造を解きあかす。オスプレイ機は「不時着(読売・産経)」したのか「墜落(沖縄紙)」したのか――。沖縄をめぐる報道から偏向、分断、ヘイトが生まれる構造を解きあかす。
山田 健太[ヤマダ ケンタ]
著・文・その他
内容説明
2016年に名護市で起きたオスプレイ機事故を報じた新聞各紙の見出しは、「不時着」「大破」「墜落」とそれぞれニュアンスが異なる言葉を使用していた。ここには、各紙の「沖縄か本土か」「政府寄りか沖縄寄りか」という立場の違いが反映されている。このような沖縄と本土の意識差は近年、「溝」「対立」から「分断」へと深刻化している。本書では、沖縄現代史と今日の沖縄が抱える問題を踏まえた上で、このような状況を招いたメディアの現状と、それを生み出す構造を解き明かす。
目次
序章 忖度
第1章 地図
第2章 歴史
第3章 分断
第4章 偏見
第5章 偏向
終章 権力
著者等紹介
山田健太[ヤマダケンタ]
1959年京都市生まれ。専修大学人文・ジャーナリズム学科教授。専門は言論法、ジャーナリズム研究。日本ペンクラブ専任理事、情報公開クリアリングハウス理事を務めるほか、自由人権協会理事・事務局長、BPO放送人権委員会委員などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
29
沖縄の新聞は本当に偏っているのかを検証。政権に楯突くと偏向とされるこの頃のネットの風潮ってどうなのかしら? そもそも沖縄県は読売や朝日などの全国紙が昼過ぎにならないと届かない(印刷所が無い)のでほぼ県民は地方紙を読む(でも新聞取ってる人5割)ってのからして知らなかったー。地理的歴史的要因から説明してて沖縄特有のの事情を知れた。なるほど。次は沖縄が偏向してるって言ってる側の本も読んで比較してみよっと。2018/11/30
hk
20
…「米軍戦闘機が墜落」「ヘリが不時着」…沖縄で起こった同じ事象でも、沖縄の県紙と全国紙では大きな齟齬がある。一体この隔たりはなぜ生じたのだろうか?本書はそんな疑問にがっぷりよつで取り組んでいる。なかんずく「1945年から72年までは米軍政下の沖縄において日本の憲法も米憲法も存在しなかった。そのため沖縄では言論の自由が抑圧され、目下の沖縄メディアは抑圧されたものがそれ以上の力で反発している状況だ」というニュアンスの指摘はなるほど尤もだ。本土と沖縄では歩んできた歴史が異なるということを改めて痛感した一冊だ。2018/12/11
杜子春
14
沖縄で全国紙が印刷されてないことなど恥ずかしながら知らない情報が多かった。新聞社の変遷からたどる沖縄の戦後史は大変興味深かった。ジャーナリズムとは、公正公平な報道とは、などいろいろ考えさせられた。2018/10/27
イボンヌ
10
今こそ読むべき本でした。 日本のジャーナリズムの縮図が、沖縄を巡る報道に象徴されている。 沢山のファクトとエビデンスを用いて、安倍政権が蔓延させている悪意と憎悪を明るみにしています。2019/01/12
ねこ
8
日本の現在の新聞が政党性をもたない理由は2つあり、1つは大衆新聞が生き延びたこと、もう1つは政党性をもつ多くの地方紙が戦中に統合され県内に1紙となり、政党性を捨てざるを得なかったため。なるほど。この本のもっとも言いたかったことは「公正さ」についてだろう。以下引用。「公正さとは真ん中をさすのでも中庸をさすのでもなく、むしろ社会に埋もれがちな小さな声を拾うことや、弱い側に立つことを指す概念だ」。すとんと落ちた。偏っていいのだ。考えてみれば、もともとの社会が公正ではないのだから、当然か。2018/11/23