出版社内容情報
ゲノムの歴史から見えてきた我々のルーツとは。チンギス・ハン遺伝子の拡散仮説を糸口に、進化とは、遺伝とは、を問いなおす。
太田 博樹[オオタ ヒロキ]
著・文・その他
内容説明
近年、世界中の人類集団の遺伝子のバリエーションについて大規模な研究が数多くなされている。そうした中、中央アジアから東アジアにかけてチンギス・ハンの持っていたY染色体のタイプが爆発的に拡散しているという仮説が提起された。本書ではこの仮説を追うことを糸口として、遺伝子の研究方法から、人類の祖先の辿り方、進化と遺伝の捉え方まで、ゲノム時代にわれわれのルーツを追究する意義について、縦横無尽に解説する。
目次
第1章 ゲノム・遺伝子・DNA
第2章 アウト・オブ・アフリカ
第3章 遺伝子の系統樹から祖先をさぐる
第4章 適応vs.中立
第5章 男女で異なる移動パターン―sex‐biased migration
第6章 チンギス・ハンのDNA
著者等紹介
太田博樹[オオタヒロキ]
1968年生まれ。東京大学大学院理学系研究科修了、博士(理学)。マックス・プランク進化人類学研究所、イエール大学の研究員、東京大学大学院新領域創成科学研究科の助教などを経て、北里大学医学部解剖学・准教授。専門は人類集団遺伝学・ゲノム人類学。国際分子生物進化学会でW.Fitch賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
60
著者は北里大学医学部解剖学准教授の太田博樹先生。人類集団遺伝学・ゲノム人類学が専門。チンギス・ハンのDNAがどのような変遷をたどって今アジア人集団の中に存在しているのか、という遺伝子の歴史について語った一冊。2015年11月から2016年2月にかけて開催された「ちくま大学」の講座「ヒト遺伝子の謎に迫るーチンギス・ハンの秘密」で語られた内容を書籍化。遺伝子の研究方法、人類の祖先のたどり方、進化と遺伝のとらえ方など、ゲノム時代にわれわれのルーツを追究する意義について解説しています。2025/04/10
那由田 忠
26
いろいろな基礎知識も入れて説明しているのでやや冗漫な感じがする本であるが、斜め読みしながら人類学の進化を確認できる。ミトコンドリアと遺伝子からの人類の系統分類がどうして異なるかの説明は納得できる。問題はそこからチンギスハンの子孫に話をもってくること。p.272に正確な最新結果が欄外に書いてあるけど、関連しているのは4千年前なのでチンギスハンの子孫というわけではなくなってる。今更副題を変えられなかったとは思うけど。2021/02/23
サアベドラ
20
遺伝子などから人類の進化や拡散過程を探る研究を広く浅く語った本。著者は北里大学准教授(専門は人類集団遺伝学・ゲノム遺伝学)。2018年刊。カルチャーセンターの講座を元にしたとのことで、わかりやすい反面、繰り返しが多くちょくちょく脱線する。著者の専門の話になると急に詳しくなるところも講座っぽい。本書で遺伝子と人類に関する知識を概説的に得ることはできないが、この学問分野の進歩の速さとライブ感をなんとなく感じ取ることができるという点で、悪い本ではないと思う。2019/01/20
YO)))
15
遺伝情報はビックデータに他ならないことが分かる。数理・統計的な処理により描かれた系統樹から人類の進化の過程を辿る(「出アフリカ」の時期やネアンデルタール人との混血など)、遺伝子の差異を計量化した指標=遺伝距離から集団間の遺伝的多様性を評価し、男女で異なる移動パターンを明らかにする、など。こと人類の進化においては、自然選択だけでなく、婚姻システムや身分制度などの文化的要因による「社会選択」が遺伝頻度を決定づけている場合がある、というのが本書で繰り返し主張されている肝要な点であろう。2022/09/19
GASHOW
7
中央アジアには、チンギスハンの遺伝子があると言うゲノム解析の結果がある。遊牧民で武闘派だと地域の定住の男を殺して、女性に子どものたねを宿して去って行ったならば、そりゃ遺伝子はひろまるね、チンギスハンの時代の地球の人口は、相当小さいからありえる話だと言う。2019/03/01
-
- 電子書籍
- CSR企業総覧 ESG編 2021年版…