出版社内容情報
信頼できる研究を積み重ねる実証史家の知を結集。20のテーマで明治史研究の論点を整理し、変革と跳躍の時代を最新研究で描き直す。新しい近代史入門の決定版。
小林 和幸[コバヤシ カズユキ]
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内容説明
幕末・維新期を例外として、明治史について、一般向けに専門研究が紹介されることは多くない。だが、学界においては、明治時代全般にわたる研究が近年も着実に進められている。そこで、信頼できる研究を積み重ねる若手・中堅の実証史家の知を結集。二〇のテーマで明治史研究の論点を提示し、旧態依然とした過去の歴史観に縛られず、また実証性のない偏った見方にも左右されない、歴史研究の確かな最前線を提示する。
目次
開国と尊王攘夷運動―国是の模索
幕末雄藩と公議政体論―「公議」の運動からみる幕末政治
王政復古と維新政府―せめぎあう維新官僚と諸藩
廃藩置県・秩禄処分―分権から集権へ
陸海軍の創設―徴兵制の選択と統帥権の独立
明治前期の国家と神社・宗教―神社が宗教でなかったのはなぜか
万国公法と台湾出兵―新しい国際秩序への一階梯
自由民権運動と藩閥政府―板垣遭難と民権運動の展開
西南戦争と新技術―海軍・汽船・熊本城籠城
明治一四年の政変―大隈重信はなぜ追放されたか〔ほか〕
著者等紹介
小林和幸[コバヤシカズユキ]
1961年生まれ。青山学院大学文学部教授。青山学院大学大学院博士後期課程退学。博士(歴史学)。専門は日本近代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
45
各講を別々の著者に割り当てられて書かれているため、それぞれ講を改めて受け取る読者はしんどい。明治史を概観しようという用途にはお薦めできない。講末に推薦図書だけでなくその解説にも割かれていて、より興味を持っていく読者を誘導しており意欲的だ。第4講の秩禄処分とは要は既得権益との妥協の話だ。すごく政治的で生々しく、現代のことかと見紛う。今の日本もこのくらい出来れば…第6講はこれだけで一冊本が書ける。神社とは宗教ではなく、天皇が宗教の位置にある。なぜならば近代化以前に宗教という概念が日本にはなかったからだという。2023/12/06
skunk_c
23
幕末から大正政変まで、明治時代にかかわる主要な20のテーマについての論考集。『昭和史講義』を受けてのもので、若手も含め、「これが最新研究だ」との意気込みを感じるが、論考によってはそれが驕りになっている気もする。一部論拠を示さずに従来の説を頭から否定する部分があるが、せめて誰の説で否定されたかぐらいは書いて欲しい。第6講の神社、第7講の台湾出兵、第14講の貴族院は特に面白かった。明治をざっと見取るには良い本だ。ただ第15講の最後で、1960年の改正日米安保条約を「対等条約」と規定するが、いかがなものか。2018/06/20
かんがく
13
明治維新150周年を迎える今年であるが、本書では幕末から大正政変までの全20章を、それぞれの専門家が最新研究とともに描くものとなっている。一つ一つの章がかなり短いため、やや物足りなさもあるが、簡単にそれぞれのテーマについての現在の研究を知れるのは良い。参考文献もたくさん載っており、ここからさらに深く勉強するためのとっかかりと言ったところ。明治14年の政変についての章と桂園時代についての章がとくに興味深い。2018/06/02
崩紫サロメ
11
20のテーマについて各人が考察し、最後に参考文献を挙げるのだが、その文献が研究史上どのような位置づけかも解説してあるので、研究史について知りたい者にも優しい。特に第12講「大日本帝国憲法 政治制度の設計とその自律」で、伊藤の「憲法政治」が「調和を演出する伊藤の個人的な周旋に依拠した大らかな立憲主義」であり、天皇を調和の担い手としていたという指摘、また台湾統治における憲法の適応について扱った第18講「植民地系遺影の開始 統治形態の模索と立憲主義」など興味深かった。2026/01/25
qwer0987
10
明治期の諸問題を手広く扱っていて、読みごたえがある。個人的に一番面白かったのは神道は宗教とみなされていなかったという話か。宗教という訳語に対してそれに対応するのはキリスト教と仏教であり、西欧のような国教による人心帰一の機軸として皇室を持ち出し、それが教育勅語につながる流れは興味深い。その他では大日本帝国憲法の調査で伊藤が行政を発見した話や、その伊藤が必ずしも立憲主義の運用ができていると言いがたかった点、星亨の存在感、植民地では内地の法制が援用するか議論されていた話など興趣に尽きない内容だった。2024/11/29




