出版社内容情報
物理学でも哲学でもない、言語学からみた時間論。〈時は金なり〉等、現代人が縛られているメタファー(隠喩)を明らかにする。
瀬戸 賢一[セト ケンイチ]
内容説明
時間は抽象なので、私たちが時間を認識するとき、なにかに「見立て」るしかない。この「見立て」つまりメタファーを分析することで、“時間”を具体的に意識化することができる。近代において最も強固な「見立て」は“時は金なり”のメタファー。コーパスや、具体的なテキスト(「吾輩は猫である」「モモ」等)を探り、私たちが縛られているさまざまな時間のメタファーを明らかにした上で、新しい時間概念(「時間は命」)を模索したい。
目次
第1章 時間をことばで表すと―『広辞苑』vs.『新明解』(『広辞苑』の定義の変遷;『新明解』の挑戦)
第2章 「時間」と「とき」(ときの意味―ゆったりと流れるもの;時間の意味―計量されるもの;「時は金なり」は「時間は金なり」?)
第3章 時間経過の認識論(哲学者たちは時間をどう思索したか?;時間はどう流れるか)
第4章 時間のメタファー(時は金なり;時間に追われる;時間のネットワーク―時間のことばの全体像)
第5章 新たな時間概念を求めて(“時間は命”;時間の円環を取り戻す)
著者等紹介
瀬戸賢一[セトケンイチ]
1951年生まれ。佛教大学文学部教授。大阪市立大学名誉教授。専門は、英語学・レトリック。レトリックを中心に言語表現の実際を分析し、豊かな表現技法に向けてさまざまな提言をしている。また、認知言語学の立場から、人間の言語・行動・認識を体系的に解明することを目指す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。