出版社内容情報
ポストモダン思想は、何を問題にしてきたのか。生命、精神、歴史、情報、暴力の五つの層で現代思想をとらえなおし、混迷する時代の思想的課題を浮き彫りにする。
内容説明
二〇世紀のイデオロギー対立は終焉したが、新たな思想・哲学が出現していないように見える。近代のしがらみを捨てて、いま一度、現代思想の諸地層をもっとつぶさに見ていこう。そこに新たな思考が芽生えるきっかけが見つかりそうだ。生命、精神、歴史、情報、暴力の五つの層において現代思想をとらえ、それぞれ一九世紀後半あたりを出発点として、五度にわたってさらいなおす。現代思想の意義を探りつつ、その全体像を俯瞰する、初学者にもわかりやすいタイプの入門書。
目次
序章 現代とは何か
第1章 生命―進化論から生命政治まで
第2章 精神―宇宙における人間
第3章 歴史―構造主義史観へ
第4章 情報―ポストモダンと人間のゆくえ
第5章 暴力―マルクス主義から普遍的機械主義へ
著者等紹介
船木亨[フナキトオル]
1952年東京都生まれ。東京大博士(文学)。東京大学大学院人文科学研究科(倫理学専攻)博士課程修了。専修大学文学部哲学科教授、放送大学客員教授。専攻はフランス現代哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
28
《購入本》ボリューミーでかつ平易ではなく読み応えがあった。現代思想を過去から未来へ向かう線分上にではなくベルト上あるいは地層の中に点在するものとしてベルトそのものをいろいろな角度で切開きながら、その断面を作者流に解説している。しかし一方で、少なくともタイトルにある「思想史」の本ではなくましてや「入門」本でもない。ひとつひとつの現代思想を現代社会若しくは現代思想自体の読み解きのためのツールとして使って著者の言説を読み手に指し示している。そう割り切った上で読むのならばなかなかに面白く興味深い。要再読の一冊。2017/03/04
Ex libris 毒餃子
13
どこが「入門」だよ!、というくらい下知識がないと読み込めません。「思想史」というタイトル通り、5つの類型に現代哲学で問題となる「思想」について、過去から現代までの流れを追っている。個人的には再勉強になりました。あと、『エレホン』読みたくなってくるけど高い。2021/07/10
どらがあんこ
13
本書を読んでいると思想を知識化して取り込みたくなる普段の読みを反省せざるを得ない。そんな読みは鏡として自己しか映さないが本書は窓になるように構成されている。外に作用させるように読めば恐らく今まで読んだ本を見返したくなるはず。2019/05/15
有沢翔治@文芸同人誌配布中
13
構造主義以降の哲学が非常によくまとまっているが、自然科学・科学哲学の知識についての間違いが多々見られる。現代思想というと、抽象論やデリダのように文芸批評に終止しているという印象があるかもしれないが、現実の具体的な課題とつなげて考えている。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51494344.html2018/01/19
sabosashi
11
ヨーロッパ現代思想史入門、あるいはそれをどう読み解くか、というテーマ。 なぜならいかにも博識といえど、すべてを網羅して書き記すのはじつに難行であろうから。 だからここは、著者がこのテーマをどう扱おうとしているか、という芸を見習いたい。 しばしば口にするように、わたしは非ヨーロッパ世界の思想・文化にもおおいに興味・関心を抱いているので、ヨーロッパ思想史がすべてだなどと思ったことはない。 ただその生成の機能・論理にこそ興味がある。 なんて大風呂敷を広げてみたが。 2019/01/31
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