出版社内容情報
世界にも類を見ない軍事組織・自衛隊はどのようにできたのか。国際情勢の変動と平和主義の間で揺れ動いてきた防衛政策の全貌を描き出す、はじめての自衛隊全史。
内容説明
戦後長い間、自衛隊や防衛政策についての論議はタブーであった。冷戦終焉後、自衛隊の果たす役割が拡大してからも、その実態はあまり直視されてこなかった。自衛隊という世界にも類を見ない組織がなぜ成立したか。国民はそれをどう受容してきたのか。安全保障に関する議論、日本社会における防衛問題・軍事の位置づけ、現実の自衛隊の活動、という三層から、我が国の防衛政策の七〇年間の転変を描き出す。防衛をめぐる議論に不可欠な基礎知識を網羅した、初めての自衛隊全史。
目次
第1章 「再軍備」への道―防衛政策の形成
第2章 五五年体制下―防衛論の分裂と高揚
第3章 新冷戦時代―防衛政策の変容
第4章 冷戦終焉―激動する内外情勢への対応
第5章 「新しい脅威」の時代―日米同盟・防衛政策の転換点
終章 新たな安全保障体制に向けて
著者等紹介
佐道明広[サドウアキヒロ]
1958年生まれ。学習院大学法学部卒業。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。博士(政治学)。現在、中京大学総合政策学部教授。専門は日本政治外交史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
12
著者のことは知らなかったが、高坂正暁氏などのいわゆるリアリズム系の国際政治学者らしい。非常にバランスのとれた良い内容だと思う。戦後日本での安全保障政策が敗戦のショックゆえとは言え、いかに情けないものだったかを痛感した。アメリカ合衆国大統領にトランプが就任するなど、世界はますます混とんとする中で本書を読む価値はさらに高まったと言える。2017/01/22
ともふく
6
自衛隊の歴史について、とても冷静かつ客観的に書かれた本で、非常に勉強になりました。すごく良い本でした。自衛隊のことについて、な〜んにも知らなかったんだな、と改めて思いました。国を守ってもらっているのに。沖縄の人の置かれた状況もよく知りませんでした。正しい認識と意見を持つために歴史を知ることは何事においても大事ですね。何も知らないのにイメージだけでものを語ってはいけないな、と再認識です。自衛隊の長く複雑な歩みを、私のような素人にもとても分かりやすくまとめあげてくれた著者に感謝です。2017/02/11
フェイ
4
戦後の占領期から2015年までの防衛政策(防衛戦略)の変遷を辿っている。 自衛隊の部隊創設を担ったのは旧軍関係者ではなく、旧内務省系の警察官僚(後の防衛庁内局)であった。彼らは旧軍の復活を恐れており、実際旧軍関係者は吉田首相暗殺まで計画していた。このため、戦後長らく制服組を制限するよう内局は動いていたが、その一方で国民の自衛隊への好感度改善のために自衛隊の災害派遣や南極観測活動支援等を行い、自衛隊の存在は定着する。その後、時代の変化により自衛隊は徐々に任務を拡大するが、それに見合う予算等はないままであった2016/06/18
ア
3
占領期から2015年までの日本の防衛政策史。基本的には猪木正道や高坂正堯ら現実主義者の立場に近い。警察予備隊や保安隊の頃から、陸海間の壁、文官と制服組の対立が存在し、現在まで影響している。戦後平和主義を、軍事力のプレゼンスを忌避させたとして否定的に論じる。終章で列挙されていた論点が興味深かった。集団的自衛権と集団安全保障。集団的自衛権の(制限的な)行使容認は、日米の対等性を増し、それは思いやり予算の削減や地位協定の改定につながるかどうか。軍による平和と軍からの平和。巻き込まれると見捨てられる。など2020/08/25
どらんかー
3
防衛政策、政治の面から見たい自衛隊史。 われわれ市民も正しい知識の元に軍事を考えることが必要であると考える。2018/04/19