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ちくま新書
心づくしの日本語―和歌でよむ古代の思想

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  • サイズ 新書判/ページ数 253p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480066268
  • NDC分類 911.102
  • Cコード C0291

出版社内容情報

過ぎ去った日本語は死んではいない。日本人の世界認識の根源には「歌を詠む」という営為がある。王朝文学の言葉を探り、心を重んじる日本語の叡知を甦らせる。

内容説明

「心」「日本語(言の葉)」「和歌」。これら三つは密接につながっている。日本語が発展したのは、和歌のおかげである。日本人の世界認識の根源には「歌をよむ」という営為があるからだ。「心」は日本の伝統文化のエッセンスであり、この叡知を定着させたのは和歌である。しかし、近代以降、西洋文明の獲得と引き換えに、日本語が培った叡知を私たちは失いつつある。その喪失を偲ぶとき、王朝文化における和歌の卓越が明らかになるだろう。本書は、近代文明を相対化する視点をはぐくむものとして、古代文学を捉えなおす試みである。

目次

第1章 『竹取物語』―限りのない美と限りのない心
第2章 タブーと自由―人の心を種としたやまと歌
第3章 「月の影」とその彼方へ
第4章 「あいまいさ」の今昔
第5章 「月やあらぬ」とその英訳
第6章 日本語の限界と無限の表現力
第7章 外縁からのまなざし
第8章 助詞・助動詞のマジック・ミラー

著者等紹介

クリステワ,ツベタナ[クリステワ,ツベタナ][Kristeva,Tzvetana]
1954年ソフィア(ブルガリア)生まれ。1978年、モスクワ大学アジア・アフリカ研究所日本文学科卒業。1980~81年、東京大学文学部国語・国文学科研究生。1984年にソフィア大学博士(文学)、2000年に東京大学博士(学術)を取得。ソフィア大学東洋語教授、中京女子大学教授、東京大学大学院人文社会系研究科客員教授などを経て、国際基督教大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tom

15
著者はブルガリアの人。「つまり、読書は冒険だ。 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義5」で知った。日本人研究者の狭量さに怒っていた。この本とても興味深い。濁点「”」が使われ出したのは江戸時代、定着したのは近代以降。文章は濁点ありとなしの二重の解釈が可能。例えば「見えて」と書いてあっても「見えで」(見えない)とも読める。これが和歌の読み方の二重性を生み出す。著者が行う和歌の解釈を読んでみると、その複雑さに驚く。濁点に限らず、同音異義語の多さもまた同じ、などなど書いてある。昔の日本語の奥深さを教えてもらった。2021/03/10

びっぐすとん

5
図書館本。レビュー見て。著者によると日本人の考え方の根底には「曖昧さ」があり、古代以来人間の内面を表現してきた和歌の中でも、その曖昧さが現れているという。YES・NOを断定しなくてもいいあやふやな表現が可能な日本語では、肯定なのか否定なのかを詠み人・読み人の判断に任せ、あるいは肯定・否定の両面ととらえさせることも出来、和歌はこの特徴を最大限利用したものだろう。濁点の表記が無い時代は詠(読)む時に「”」をつけるかつけないかでも意味が変わってしまうが、混乱しなかったのかな?掛詞の駆使など、やはり和歌は奥深い。2017/07/05

in medio tutissimus ibis.

3
公式文書としての漢文の存在があるために和歌は自然と恋情のみをその主題とするほかなかったが、そのことが和歌、ひいては古代日本語が心情への深い理解を持つことを可能にした。その真骨頂は、近代的な心の状態の一意性への欲望を離れ、愛の中に憎しみがあるような葛藤やあいまいさそれ自体を主題とする事が可能になったこと(表現があいまいとは言っていない)であり、音の清濁を区別しない表記法がそれを促した。……という内容を踏まえないとよくわからないタイトル。2018/06/19

NагΑ Насy

3
和歌に特徴的にみられる古代中世からつたえられてきた日本の文化、こころのはたらきの粋、老荘をはじめ禅などにみられる古代中国の思想にルーツをもつ、あいまいさ、自然観、美を真理のうちに観、真理を美の内に観る、感受性。それらをつなぐこと。大学の時に一般教養(じぇねえど)でつべたなせんせの講座きいていたときはちんぷんかんぷんだった(高校りけいだったし)けど、2回3回繰り返して読んでたらなんか分かってきた。ブルガリア人の書いた日本語が流暢すぎてなきたくなる。自分の母語のつたなさに。2013/09/29

おさ

2
日本人の思想を古典につなげて解説していることに興味がもてました。和歌の助詞・助動詞の使い方で解釈が変わったり,和歌を英訳するとどのように伝わるのかなど発見の多い作品でした。2017/07/02

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