ちくま新書
「いい文章」ってなんだ?―入試作文・小論文の歴史

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  • サイズ 新書判/ページ数 269p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480065544
  • NDC分類 375.86
  • Cコード C0281

内容説明

本書は日本近代における文章評価の枠組みとその系譜をたどることによって、文章を“優/劣”で評価するとはどういうことなのか、その評価はどのようなカラクリによって真実らしさを獲得しているのかという観点から、私たちが内面化している文章評価の基準を問い直すことを目的とする。

目次

第1章 教養か、実用か?―明治期における「文章格差」のはじまり
第2章 ありのままの「自分」を語れ!―書くことの“真実”
第3章 戦争と作文―文章の国家統制と“生活主義”の台頭
第4章 小論文、登場!―戦後の適性検査から高度経済成長期の小論文へ
第5章 小論文幻想―「文章評価」はどこに行くのか
第6章 ねばり強く考えるための小論文教室―採点者の視点に学ぶ

著者等紹介

石川巧[イシカワタクミ]
1963年秋田県生まれ。立教大学大学院博士後期課程満期退学。山口大学人文学部助教授、九州大学大学院比較社会文化研究院助教授を経て、立教大学文学部教授。専攻は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ブルーローズ

4
副題がすべてを語る。他教科と違い、学校での勉強範囲外にある小論文。こんな経歴の持ち主だったんだ、と納得。参考文献も多く、文章作成のヒントにもなる思ったより重厚な本。2011/03/17

ががが

2
教育における作文や小論文の問題や各時代の受験参考書などを持ち出しながら、文章を評価する側の意図がどのように変遷してきたのかを探る。そもそも文章の客観的評価など不可能だが、文学と実用の狭間で文章評価は揺れ動いてきた。現代のAO入試や小論文についても述べられており、受験者がどれだけ考えたかよりもあらかじめストックした陳腐な文章を切り貼りしたものが氾濫している現状を嘆いている。暗記物のように手っ取り早く知識を取り込むことと勘違いされているきらいがあるし、そういうやり方で実際に攻略されている試験の現状は救い難い。2023/05/05

壱萬弐仟縁

2
A4版1枚、1000字程度(p.204)でまとめる。これが一番インパクトがある。理由は、本山勝寛氏のアメリカ留学で得られたものと同様、簡潔に相手に伝える方法として重要だと思ったから。2012/05/17

aabbkon

1
読み方教授と綴り方教授が共に歩んできた歴史を垣間見た。2015/02/13

Voodoo Kami

1
本来は受験生向け。しかし「ありふれた体験と退屈な正論を語る虚しさ」「起承転結幻想」「混沌から逃げずに問題を受け止め、混沌にとどまり続けること。引き裂かれた複数の真実に向けて言葉を発すること」などの、最終章の記述は、小論文対策以上の、著者からの檄が伝わってくる。2010/11/19

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