出版社内容情報
日本経済の動き方には特性がある。それを知ればショックにも対応できる!景気はどう認識され、どう「誤診」されるのかを考える。
内容説明
日本経済の動き方には法則がある。それは「体質」といってもいい特性である。経済はどう動き、どう認識され、そして時にどう「誤診」されるのか。それをよく知れば、地価や株価の変化を察知し、予想外のショックにも対応できる。本書では、さまざまな経済データを用いて「病状」を読み解き、不景気の病因を「診断」し、経済学で「治療」を試みる。大局的な視点から日本経済の過去と未来を整理する、信頼できるナビゲーター。
目次
第1章 景気「診断」と「治療」
第2章 「平熱」と「発熱」―経済政策のインパクト
第3章 「病状」の進行―経済の基本リズム
第4章 「モルヒネ」としての金融政策
第5章 「病巣」の「転移」と「再発」―金融危機への波及
第6章 「手術」の成功と「リハビリ」の失敗―小泉構造改革
第7章 「老化」と「生活習慣病」―これからの日本
著者等紹介
脇田成[ワキタシゲル]
1961年京都府生まれ。マクロ経済学者、首都大学東京経済学部教授。東京大学客員教授兼任。東京大学経済学部卒。博士(経済学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kumonosuke
2
日本経済に取って輸出のインパクトが無茶苦茶大きい訳では無いという視点に初めて気づかされた。輸出の伸びは国内成長の起爆剤、種火程度にはなるという着想に少しは頷く所もあった。マクロ的な見方の重要性を再認識されられる著作であった。2013/10/08
やす
2
失われた10年や戦後最長の景気回復期についてのエコノミスト各氏の所説は互いに矛盾しているように思えるのだけど、どれが正しいとかは判断できないのではあるが経済や競争が何のためにあるのかを本書は最後になって明確に示している。家計の充実のためになってこそ競争原理が正しいのであって競争それ自体が倫理的に正義であるのではないという。本書の主張のほかの部分について良し悪しを言えるものはないのであるが、この前提はエコノミストの見識として素晴らしい。2011/02/06
niomoc
2
量的緩和政策や小泉構造改革の問題点を指摘しているのはよかった。でも著者の言う「企業から家計に所得を返す」っていうのをどう実現するかがピンとこなかった。あと不景気を病気に喩えるのはいいんだけど、全体的に安直な喩えに頼りすぎでよくわからなくなってるように感じた。2010/02/20
Yggdrasill
1
日本経済の見取り図をわかり易く説明した上で、バブル、失われた10年、金融危機などの出来事を「サイクル」と「トレンド」という言葉で区切り、冷静な視点で分析した良書。真新しい提言が目立つが、どれもデータに依拠したものであり、非常に説得力がある。2010/04/03
ふじお
1
「とにかくグラフを書く」 大学の教授の教えを思い出した。現状の分析と、過去の停滞の原因の解明も秀逸。あとは著者自信の提言がほしいところ。企業が無借金経営に走り、家計にお金が回らず、政府が借金をする。この構図を変えるのは相当難しい。2010/03/15