内容説明
近代日本最大の啓蒙思想家・福澤諭吉の大ベストセラー『学問のすすめ』。本書は歯切れのよい原書のリズムをいかしつつ、文語を口語に移した現代語訳である。国家と個人の関係を見つめ、世のために働くことで自分自身も充実する生き方を示した彼の言葉は、全く色あせないばかりか、今の時代にこそ響く。読めば時代情勢を的確に見極め、今すべきことを客観的に判断する力がつく。現代にいかすためのポイントを押さえた解説つき。
目次
学問には目的がある
人間の権理とは何か
愛国心のあり方
国民の気風が国を作る
国をリードする人材とは
文明社会と法の精神
国民の二つの役目
男女間の不合理、親子間の不条理
よりレベルの高い学問
学問にかかる期待
美しいタテマエに潜む害悪
品格を高める
怨望は最大の悪徳
人生設計の技術
判断力の鍛え方
著者等紹介
福澤諭吉[フクザワユキチ]
1835(天保5)~1901(明治34)年。中津藩士、著述家、教育者、啓蒙思想家、「時事新報」の発行人。慶應義塾の創設に力を尽くした
齋藤孝[サイトウタカシ]
1960(昭和35)年生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション技法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
415
現代語訳がわかりやすいからなのか、まるで福沢諭吉が現代に書いたかのような印象をもった。内容は今の世の中でも当たり前に通用する話ばかりだなと感じた。意外とまともといえば変だがわかりやすかった。一度原文にもあたってみたい。2015/12/28
ヴェルナーの日記
190
齋藤氏による「学問のすすめ」の現代語訳版。文語体とは違って、さすがに読み易いし、内容も分り易かった。また同氏ならではの重要箇所を強調体にするオマケも付いている。福澤諭吉の「学問のすすめ」を読んでみると、次のような系統が想起される。プラトン⇒アダム・スミス⇒ジョンロック⇒福澤諭吉である。「公」と「私」の有り方を示し、両者のバランスを重視する。齋藤氏も述べているように「権利」を「権理」とするところ辺りが、如何にもさり有りなんといったところか?マルクスやルソー、ホップス等と読み比べてみるのも面白いかもしれない。2013/09/17
ehirano1
181
真の意味での「平等≒対等」を教えてくれる書物だと思いました。そして「平等≒対等」は決してぬるいものではないということも。良書。2023/09/29
月讀命
180
『天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず。』これは、非常に有名な言葉であるが、福澤諭吉の業績については、余り多く知られていない。私も、彼は明治維新の頃に、日本の発展に寄与し、『学問のすゝめ』や『福翁自伝』等を執筆、そして慶応義塾大学の創始者である事ぐらいしか存じ上げていなかった。現在、日本国の最高額紙幣に印刷される程の日本を代表する人物であるので、当然知っておくべきであると思い読んでみた。現代語訳で書かれているので、とても解りや易く読める。後でゆっくりと岩波文庫で原文を噛み砕いて味わいたいものだ。2010/03/30
徒花
161
まあまあおもしろかった。齋藤孝先生の訳しかたのせいもあるのかもしれないけれど、とにかく読みやすくてサラサラ読み進めていける。あと、意外と諭吉先生が各方面に対して攻撃的&辛口なものの言い方をしているのが意外だったり。また、「ここの章はちょっと難しいから我慢して読んでね」など、諭吉先生自身もあまり知識がない人でも理解できるように気を配っていることが伺い知れる。内容はタイトルの主張から、日本人個々が自立独立していくために勉強して一生懸命努力しなさいよという啓蒙書。2020/10/18