ちくま新書
安全。でも、安心できない…―信頼をめぐる心理学

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  • サイズ 新書判/ページ数 206p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480064493
  • NDC分類 141.5
  • Cコード C0211

内容説明

凶悪犯罪、自然災害、食品偽装、BSE…。これらのリスクを目の前にしたとき、正しく判断し行動するには、いったいどうすればいいのか?データや事実を積み上げて「安全」であることを頭では理解したとしても、それだけでは「不安」は消えないし、相手を信頼することもできない。必要なのは、理性と感情のメカニズムをふまえた信頼のマネジメントなのだ。不安社会を適切に生きるための実践の書。

目次

第1章 「安全」だけでは足りない!
第2章 信頼の心理学
第3章 信頼のマネジメント
第4章 価値観と信頼感
第5章 感情というシステム
終章 「使える」リスク心理学へ

著者等紹介

中谷内一也[ナカヤチカズヤ]
1962年大阪生まれ。同志社大学大学院心理学専攻博士課程満期退学。現在、帝塚山大学心理福祉学部教授。専門領域は社会心理学、リスク心理学。現代社会のさまざまなリスクがもたらす不安にうまく対処し、社会的な混乱を抑えることに貢献できる心理学を模索中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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WATA

46
「信頼」の心理学の入門書。初版は2008年。当時社会問題となった赤福の製造日書き換え事件を入り口として、「もう安全です」と言われても相手を信頼できないのはどういう場合かを論じている。この本によれば、人が相手を信頼する基準は「その問題に関する知識や判断能力がありそう」「公正でまじめな態度で問題に取り組みそう」「自分と価値基準が似ていそう」の3つらしい。本書を読んでいて、このうちの公正な態度が特に問題になりやすいと感じた。「私は公正です」と口で言っただけでは信じてもらえないから。2014/04/07

壱萬参仟縁

14
社会の動きを大きくとらえると、安全と安心は本質的に相反する(035頁)。リスク管理とは、限られたデータや理論モデルを駆使して予測し、被害程度を低減する営み(036頁)。信頼の非対称性原理とは、信頼を得るには積み重ねが必要だが、信頼を失うのは一つの否定的な事実でよい(069-070頁)。気を付け過ぎてもしすぎることはないのだが、あまりにそればかりにこだわっていても萎縮して何も思い切ったことはできなくもなる。学校現場では、不祥事が後を絶たない。その原因はどこにあり、どうすれば根絶できるのか。人づくりは人裁き?2014/01/01

赤だるま

4
「自分はちゃんとやってる」ではなく、「ちゃんとやっていることをちゃんと知ってもらっているか」も重要であることが、知れた。これは、リスク管理の人だけでなく、会社のあり方や、人事評価に置いても大事であると思う。あと、男女の関係に置いても。「信頼」というのは、すべての関係の根幹だと思うから。2014/01/16

サトゥルヌスを喰らう吾輩

3
『パンデミックとたたかう』から飛んだ本。リスク管理者むけの語りですが「信頼できそう」あるいは「できなさそう」と思うとき、頭の中でどういう処理がなされているのか興味があったのでおもしろく読みました。いろんなモデルがあるんだな。2020/04/26

Moloko

3
安全と安心の違いについて調べると工学系の安全学ではまだまだの感があったのに、社会心理学的なアプローチから安心の定義がされていて、相手の動機づけや能力の評価や信頼、リスクに対する観察者の感情や規範などが客観的なものとしての危険やリスクにどれだけ不安を感じたり、安心を覚えたりするかが関わるとのこと。まだ理論な論争に決着がついていないが、割とそれらについては納得するし、様々なケース・スタディーも紹介されていて興味深い2017/06/29

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