内容説明
昔にくらべればはるかに豊かな日本で、なぜ今、親も子も苦しい状況におかれているのか?日本社会の急激な変化の中で、小さな子どもにふれた経験がないまま親になる人がふえ、育児というマニュアルのない世界に戸惑う母親が急増している。本書は、著者の長年の精神科臨床(小児・思春期外来)での経験と大規模な子育て実態調査のデータに基づきながら、現代日本の子育てをめぐる状況の全体像を明らかにする。それらをふまえて、親たちの完璧志向、○×思考の弊害を指摘し、「子育ては70点がよい」というバランス育児を提唱する。
目次
序章 「小さい頃はいい子」がなぜ?
第1章 「赤ちゃんはなぜマニュアルつきで生まれてこないの?」―乳幼児を知らない母親たちの急増
第2章 二代目専業主婦が母になるとき―「自己実現」と「親役割」の間で
第3章 心の発達には道筋がある
第4章 父親にとって子育てとは
第5章 完璧な親なんていない
著者等紹介
原田正文[ハラダマサフミ]
1945年生まれ。精神科医。理学博士。京都大学大学院理学研究科博士課程修了後、大阪大学医学部卒業。大阪府立病院小児科、大阪府内の保健所長などを経て、大阪人間科学大学大学院教授。大阪府こころの健康総合センターで小児・思春期外来も担当している。NPO法人「こころの子育てインターねっと関西」代表、「Nobody’s Perfect Japan」代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みんと
5
子育てにおいて、完璧を目指さないことが、ストレスによるうつを回避するいちばんの方法である。だいたい70%ぐらいでよしと思えばいいそうだ。完璧というのは、親が思ったとおりの考えで、子どももその通りに行動し、育ってくれるという事なのだろうが、そんなことはあり得ない。母親も、産んでいきなり母性に目覚めるわけでもなく、母性は育つもの、引き出されるものなのである。子育て中、周りからの協力を得づらい現代の環境の中で母親を孤立させないためにも、家族の協力は必要不可欠になる。2010/06/02
TOMTOM
2
ちまちまと読んでいたので、タイトルのような強気さはないけれども、経験的に感じられていた内容をアンケート調査で裏付けしてある。論文だす。またデータから導き出している諸説も時折ハッとさせられる。子どもを持つと考えたときに読めるとよい本かと。2010/01/09
AI
1
ちょくちょく「この著者の感覚古いな」と引っかかる部分があるけど、1945年生まれなら古くて当たり前だし、むしろその年代なのにこの本の中に書いてあるような感覚があるのは現場にいる人ならではだな、と。 「育児書を批判する親は0か100かでしか考えられない」みたいな話があるが、これはすごい頷いた。バランス感覚って大事…。あとクロス集計が良く出てきて、有意差もちゃんと考慮してるし統計学的な面白さがあった。2018/07/12
たらんちゅら
1
救われた。叱られる内容かと思いドキドキしながら選書したけど、あなたは何も悪くない、と言われた気がして嬉しかった。育児でイライラしてしまう母親が増えており、それは母親の性格が原因ではい。事実の数字をもとに説明してくれていて男性(特に奥さまが育児中の旦那さま)に読んでもらいたい。誰を責めているわけでもないので私も旦那に読ませたい。2017/05/18
YYLR
1
ついつい「完璧」を求めたくなるが、何事も「70%」くらいのほどほどのところとしないと、親子共倒れになってしまうということを気付かされた。2014/08/10