内容説明
「五人生存、有本恵子さんを含む八人死亡、不明一人」―二〇〇二年九月に北朝鮮側から初めて明かされた日本人拉致被害者についての安否情報は、警察関係者にとって最悪の結末だった。拉致問題を担当していた公安警察は、事件性に気づきながらも、なぜ被害者救済に消極的だったのか。警察に限らず、日本政府当局の“インテリジェンス=情報”軽視は、米国9・11テロ後の今日にまで、重大な問題を投げかけている。よど号問題、金大中拉致事件、大韓機撃墜事件などの背後にあった、日本と朝鮮半島を結ぶ複雑に絡み合った糸を解きほぐしつつ、テロ時代の安全保障を再検討する。
目次
第1章 「KT」から「日本人拉致事件」へ
第2章 「金賢姫」、そして「日本人拉致」再び
第3章 七〇年代の「亡霊」たち
第4章 「朝鮮分断」のリアリティ
第5章 「9・11テロ」余波
第6章 「9・17小泉訪朝」ショック
第7章 「小泉訪朝」後のヘゲモニー
著者等紹介
川辺克朗[カワベカツロウ]
1954年兵庫県西宮市生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。1978年TBSに入社。報道局社会部デスク、警視庁キャップ、「報道特集」副部長などを経て、96年退社。以後、フリーのジャーナリストとして、月刊誌を中心に幅広く活躍している。専門はインテリジェンス(情報)、セキュリティ(安全保障)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。