内容説明
太陽の輝き、朝のコーヒーの香り、小鳥のさえずり…私たちの意識は鮮やかな質感(クオリア)に満ち満ちている。物質である脳が、心の中に、そうしたユニークな感覚を生み出すのはなぜか?そして、すべてを感じる存在としての「私」とは何ものなのか?人類に残されたこの究極の謎を解きほぐす鍵は、他者との関係性の中でダイナミックに変化する脳のはたらきにある。既存の科学的アプローチが解明できずにきた難問に新境地を展開する画期的論考。
目次
1 心と脳のミステリー―クオリアと同一性(「私」の心をめぐる問題;「あるもの」が「あるもの」であること;「同じこと」と「違うこと」)
2 「私」というダイナミズム―コミュニケーションと生成(やさしい問題とむずかしい問題;「ふり」をする能力;コミュニケーションから生まれるもの)
3 意識を生み出す能―「私」とクオリアの起源(「私」の生成とクオリアの生成;意識はどのように生まれるか;生成としての個を生きる)
著者等紹介
茂木健一郎[モギケンイチロウ]
1962年東京都生まれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京工業大学大学院客員助教授。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専攻は脳科学。「クオリア」(意識の中でとらえられる質感)をキーワードとして、心と脳の関係を探究している
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉野ヶ里
17
千億の脳神経細胞の活動がぼくらの意識を生み出す。では、なぜ、どうやって生み出すのか。クオリア問題。「ぎらぎら」「わびさび」等をまさに感じるということ。《あるもの》はクオリアの集合として「私」に表れる。哲学的ゾンビ(ふるまいを持つ機械)は私と等価値か。私たちは他者の幻影とコミュニケーションする。ミラーニューロン。「他人の行動」が「私」の脳に働きかける。他者理解のモジュール。他人との関わりの中で、常に変化する「私」、それを貫く同一性の認識。同一性を感じる能力が「私」。2016/03/28
Shinya
11
人間の複雑さと面白さが味わえる。 自分の普段から思っていたことが出てきてたので納得がいった。2017/06/25
bibliophage
7
〈あるもの〉が〈あるもの〉であることはいかに成り立っているのか、そのユニークな感覚クオリアについて。日常生活の中では言葉の意味は「やさしい」問題として扱われている。しかし、人間はそれを「むずかしい」問題として問い直すことができる。チューリングテスト(コンピュータが人間のよえに考えられるのか,あたかもわかったように振る舞えるか)、ふりをせずあるものがあるものであることについて思い悩む態度は、他者とのコミュニケーションから外れて自分自身のプライベートな感覚に浸ることでもある、自分が何者であるかという認識は2017/07/23
かす実
6
きみが存在するから「私」という意識が生まれた。そういうきみは、私が生成した仮想。私が今日も明日もずっと私である理由は、昨日も今日も砂糖が甘くコーヒーが苦いから。今日だって私は私を維持しながら、刻々と感情や思考を生成する。それは、波動関数の収縮という運動を持続しながらそこに存在し続けるすべての物質によく似ている。…………すっっっごくおもしろくないですか!?最高です。大収穫。2018/01/12
i-miya
6
★茂木健一郎『意識とは何か』・・・通勤本 2004.09.10 P72 ただいま キラキラ ギラギラ クオリア(0737)5本 2004.09.11 P136 ミラーニューロン ふり をする(0735)5本 P148 (A)A’→B (A)A’’→C (A)A'''→D / A→B'(B) (1024)3本 P162 (1300)3本 2004.09.14 読了2004/09/14
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