内容説明
エリツィン前大統領はテレビでの引退声明で、「ロシアは社会主義国から一足飛びに文明国になれると考えたが、われわれはあまりにも素朴であった、問題は考えていたよりもはるかに複雑だった」と涙ながらに国民に謝罪した。1991年にソ連体制が崩壊して十年あまり、ロシアには市民社会とは異なる、現代の「中世国家」が生まれてしまった。ロシア社会の本質は何なのか。プーチン大統領はこのロシアをどうしようとしているのか。日本とロシアの比較という視点から、日本人にしか見えない独自の切り口で、ロシアとその歴史を根本的に見直す。
目次
第1章 松山ロシア捕虜カルチャー・ショック(性悪説社会と性善説社会;日本人の畜生め!日本を開国させたペリー提督の奴め!)
第2章 二〇世紀ロシアをどう見るか(二〇世紀初頭からロシア革命まで;戦時共産主義からネップ、スターリン時代へ;他の選択肢はなかったか)
第3章 ペレストロイカからプーチン時代へ(ペレストロイカの意味するのもの;エリツィン時代からプーチン時代へ)
第4章 中世社会ロシア(国家に代わる秩序維持機関;ロシアと封建体制の問題をめぐって;中世社会における生活の智恵)
第5章 ロシアに対する日本的アプローチ
著者等紹介
袴田茂樹[ハカマダシゲキ]
広島県出身。生まれは1944年大阪府。67年東京大学文学部哲学科卒業。同年モスクワ国立大学大学院に留学、72年修了。77年東京大学大学院国際関係論博士課程満期退学。プリンストン大学客員研究員、東京大学大学院客員教授を歴任。現在、青山学院大学国際政治経済学部教授。現代ロシア論、日露問題の専門家として内外に知られるが、その視点の背後には歴史・文学・哲学・芸術分野への深い関心と幅広いロシア人脈がある
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