内容説明
世界各地の新宗教やカルト運動、現代思想にも大きな影響を与えてきたチベット密教。かつて類例をみないような一連の惨劇を引き起こしたオウム真理教がその理論と修行法をモデルにしていたことは記憶に新しい。チベット密教は、昨今のブームのなかで、興味本位と憶測と恣意的な解釈に委ねられてきた。本書では、正統派であるゲルク派が伝承してきた最高の教義と修行法を中心に、カギュー・サキャ・ニンマ派の代表的な教義と修行法もあわせて紹介し、チベット密教の本質を明快に解き明かす。まさに真の理解をめざすための入門書である。
目次
第１部 歴史篇（チベット密教とはなにか；チベット密教の歴史；ツォンカパの生涯）
第２部 修行篇（ゲルク派の密教修行；秘密集会聖者流；カギュー派・サキャ派・ニンマ派の修行法）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奴が岳魚
3
オウムのチベット密教への影響に興味があって読んだのだが、とてもいい本だったとおもう。冒頭で著者が言っているように、仏教はまず顕教が本となって密教が乗るべきで、その点オウムは土台を作らずに家を建ててしまったような脆弱さがあったと思う。故に教理的にも、それを誤魔化す為に上に建て増しを繰り返すような、アンバランスな形態に陥ってしまったのでは。(この辺はオウムの教理をちゃんと読んでないので、想像だが)まあ、この本は、オウムと関係なく上座部の流れを捉える場合もとてもやくにたつと思う。2015/04/28
たわし
0
性的ヨーガに関する記述は必見（ただし一番大きいゲルグ派は性的ヨーガには否定的）2012/02/19
★★★★★
0
チベット仏教の一般向け入門書。行法・行理論と性的ヨーガに関して多くのページを割いている点が珍しいと思いましたね。2010/01/06
otakichi
0
知っているようで知らなかったチベット密教の各宗派について知ることができる。2009/11/15
アルパカさん
0
これは良い本だった。新書版ながらチベット密教の歴史と行法が半分ずつの分量で過不足なく記述され、密教が抱え続けてきた懸案である性的ヨーガについてもごまかすことなく取り上げられています。ちょっと古いけど巻末の文献案内も有用。2019/05/22
