内容説明
ユダヤ人論が日本で盛んになる背景には、日本人とユダヤ人との間の奇妙な対照がある。たとえばゲットーの共同体世界から近代へ向かったユダヤ人たちの状況は、鎖国から西欧文明との遭遇を通じて開国を強いられた日本人と比べることができる。双方とも古い文化的伝統のもとにありながら、一面ではその歴史は、外来のものの消化と変容のプロセスでもあった。近代化の過程における、離散の民ユダヤ人と国土に結び付いた日本人との比較を通して、本格的なグローバリズムの時代を迎えた日本にとってのヒントを探る。
目次
第1章 「考える心」とは何か
第2章 共通の記憶を求めて
第3章 近代の病
第4章 神話的論理の可能性
第5章 文明人の中の原始人
第6章 「社会」の発見と創造
第7章 悲劇からの再生
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
重度の悪文
2
ゆるい…あまりにゆるい…2012/05/09
wei xian tiang
1
ユダヤ人は導入に過ぎず、日本の近代思想が主題。在日への偏見・差別をめぐって「基本的に日本人と同質のため、それだけ潜在的脅威」としているのは、在特会のような在日への半ば妄想地味た敵意を考える時腑に落ちる。本質的に同質でありつつ、解消不可能な異者性=国籍、人種を背負う小集団は、大集団の持つ貧困、犯罪、腐敗、貪欲といった負の面を、同質性故に当然分かち持ち、異者性故に、まるで追儺の鬼のように負の全てを象徴させられるのだと思う。2016/06/25