内容説明
「エステやダイエットできれいに変身!」、「君も積極派人間へ変身!」等々、巷では変身願望を喚起するフレーズがあふれている。人はなぜ変身を夢見るのか?たとえば、ニーチェの永遠回帰が時間を克服するものであるならば、変身とは空間を克服するものであるといえるかもしれない。本書では、変身の現代的意味を身近な出来事から捉え、社会学や精神医学の手法を取り入れながら丁寧に考える。
目次
第1章 変身する(「変身」という言葉;奇跡としての変身 ほか)
第2章 躁鬱という変身(マックスとミニー;幼児的万能感と役割距離 ほか)
第3章 ポストモダンと変身礼賛(人生歌謡の変容;人格の程度説 ほか)
第4章 忘却と記憶(偶然の足で踊る;忘却と記憶 ほか)
第5章 永遠回帰と無限変身(時間と空間の心理学;最後のニーチェ ほか)
第6章 変身願望と変身術(「成りたい」願望と「変わりたい」願望;変身する能力 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐倉
3
変身や仮面というものについて考えたかったので読んでみた。今から考えればこの本で書かれていることから一周回っている感じがした。確固たる自我というものの存在は1996年よりも信じられていないし、インターネットの発達は変身を容易にした。他者を演じる、ということや、あるいは会社や学校とは別のコミュニティに属して、そこで非日常的な振る舞いをする、ということは誰でもやっている。この本で語られる無限変身はもう実現している。むしろ、確固たる自我なるものがあるのであればそれが欲しい、という時代が今のように感じた。2022/06/18
Masahide Sawaki
0
変身願望の基礎、躁鬱病を一種の変身と見なした議論、時間と空間の屈辱とその克服、ニーチェ的思想の肯定。変身願望は持つべきではない、常に変身していればそのような願望は起こりえないからだ。2016/04/27
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