内容説明
懐石といえば今日では贅沢な料理というイメージが強いが、もともとは修行中の禅僧が飢えや寒さをしのぐために懐に入れた温石からきた言葉で、茶会で出される空腹しのぎの簡素な食事をいう。日本料理の伝統の一つの結晶ともいえる懐石料理は、季節感あふれる献立、淡泊な味付け、栄養バランスのよさ、盛りつけの美しさに加え、食べる人を思いやる心遣いなど、食が激変している今だからこそ見直したい特長を多く備えている。本書では食事としての懐石料理について文化史と栄養学の両面から詳しく解説し、現代の食生活の中で再評価する。
目次
第1章 懐石について(茶事のなかの懐石;懐石の変遷;懐石の流れ)
第2章 懐石のしくみ(懐石の献立;懐石の各料理について)
第3章 四季の茶事と懐石の栄養(懐石と栄養―六つの基礎食品と栄養所要量;茶事の種類)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
俊介
12
懐石料理に興味があり、いろいろ本を探してきたが、だいたいレシピ本かマナー本か、あるいは難しめの学術書であることが多い。その中でも本書は異色だ。まず新書であり、一般向けの純粋な解説書となっている。さらに面白いのが、著者が管理栄養士で、栄養学的な観点からも懐石料理に評価を加えているとこだ。古い時代の献立をいくつか取り上げ、栄養素チェックをする企画はシュールですらあるが、とても参考になる。ただ惜しいのは、20年以上前の本なので、栄養学の知見がやや古いことだ。いい本なので、最新の知見を反映させて再刊させてほしい。2020/08/24
Humbaba
2
懐石料理は現在では高級料理というイメージが染み付いている。しかし、もともとは修行僧が飢えなどをしのぐために懐に石を偲ばせたことから始まっており、茶会で出される簡素な料理であった。それは簡素なものだったが、日本の伝統を強く残している。2010/03/23
takao
1
ふむ2018/04/06
Humbaba
1
現代人も,昔の人も,同じ人間であることは変わりがない.人間であるということは,食事のために栄養が必要であるということでもある.そのために,懐石料理でもうまく野菜が取れるような作りをしている.2011/12/27