内容説明
空海は生まれながらに真言宗祖だったのではなく、自身の自己探求の歩みの帰結としてそうなったにすぎない。人間空海を導き、つき動かすものは、純粋無垢な菩提心だった。山と都市、高野山と平安京、唐代中国と日本、重なり合う複合的な磁場のなかで自らを形づくり、日本文化の設計者となった天才的個性の生涯。
目次
序章 始まりとしての高野山
第1章 空海の原景
第2章 空海前半生の軌跡
第3章 『請来目録』という作品
第4章 弘仁のモダニズム
終章 再び始まりとしての高野山へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
33
2013.01.26(再読)竹内信夫著。 2013.01.24 (副題)=弘仁のモダニスト。 (カバー1) 密教を恵果の教えに従い、日本に伝えようとする文化指導者の頼もしい姿。 自身の自己探求の歩みの帰結として、真言宗祖となった。 純粋な菩提心。 山と都市、高野山と平安京、唐代中国と日本。 これら複合的な地場の中、自己形成、日本文化の設計者となった天才的な個性の生涯。 2013/01/26
kochi
14
フランス文学研究が専門の著者は、四国の出身であることから、学生時代に地元の山々を歩いていたこと等から空海に接し、空海研究をスタートすることに。近畿地方や四国での弘法大師の影響力は非常に大きいものがあり、伝説としていろいろなところに登場するので、私自身もこの感覚はわかる気がするし、角川ソフィア文庫の『般若心経秘鍵』を読んで、その発想の卓抜さに驚かされたことから、いずれは、空海に関する本を読んでみたいと思っていたところ、本書を手に取った次第だが、空海の著作をベースに生涯と思想を探求する旅はなかなかハード。2019/04/12
umeko
11
空海のテクストから、その実像に迫る。ただ空海についての知識が乏しい私には勿体無い内容で、勉強してから再びこの本に戻ってきたい。2017/02/12
moonanddai
9
唐風への変革の時代の先端を歩んだ空海の姿を、「請来目録」や「性霊集」を通して検証する。時代の風に乗った、あるいは「流行」に乗った異才の人ということが大分見えてきましたが、一方「祈祷をもって貴族たちの歓心を買う堕落した真言僧」という評価もある旨の記載もあります。もちろんこれを肯定的に扱っているわけではないのですが、(行基とは違い)民衆とのつながりの薄さみたいなものを、以前から感じてはいました。満濃池といった社会事業は確かにありますが、これも依頼されたもののような…。個人的な今後の関心です。2021/04/25
ハヤカワショボ夫
3
実際に書いたものを読むだけでなく現地を巡り、確かな空海像を考察した一冊です。それは空海は真言宗の宗祖になるためでなく、ただ恵果の教えに従って布教した逞しい文化指導者であり、また自分を問い続け、引仁のモダニストとなりえた空海の実像を求めることは現代においても重要であること、最後に詩人であったということです。歴史は必然でないことが良く分かりました。【家】★★★☆2015/04/22
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