出版社内容情報
愛に彩られた王朝のドラマをさまざまな植物や身体のイメージの交錯とズレに着目して読み直し、高度に洗練された物語の魅力をしなやかに説き明かす斬新な入門書。
内容説明
愛に彩られた権力獲得の物語を、氾濫する植物イメージや身体言語に着目して説き明かした挑発的な入門書。
目次
1 光源氏の「死」と「再生」
2 光源氏世界の構築
3 他者のまなざし・他者の空間
4 光源氏世界の向こう側
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
chang_ume
6
光源氏の自律的空間「六条院世界」の成立と崩壊が大きな読みどころでした。そこに集められ、彼が用意した「季節」を刻印された女性たちの抑圧空間としての六条院。それが後続世代の突き上げから実感させられる主人公の「老い」、さらに「侵犯」(女三宮と柏木の密通)によって崩壊するさま。紫上の死後、追憶の一年(幻巻)を通じて、抑圧から離脱する女たちからの異議申し立てに直面した光源氏の姿は皮肉ですね。対象喪失の悲嘆と解放を萌芽させる女たちへの不適応。そして最後に笑ったのは「明石一族」ではないか。この読みには膝を打ちました。2017/12/05
maekoo
5
原文読解が難解な物語を身体自然を視点として分析する読解の為の入門書です 物語の深い謎を過去・現在・未来から紐解いて分析し、そこで何を行い・受け・暗示していたかの図示も含めた分析は光の罪と栄華を考える上で示唆に富んでおり、「藤」と言う視点の持つ様々な分析は読解する参考になります 桐壺更衣から連なる明石一族物語も興味深く、又、女性遍歴から権力闘争へと成長し変化していく光君やその事により一番の宝だった紫の上と精神的に隔離して行く展開や次代が成長し老いと格闘する光君と様々な視点から論じています2020/07/14
りょく
3
『源氏物語』の第一部・第二部世界についてまとめている。臣籍降下した光源氏は藤壺との間に生まれた罪の子・冷泉帝の存在によって栄華を手にし、六条院の住まいと住人たちによって表象される四季の進行を司ることで時間を自らの支配下に置いたが、老いてゆくのにしたがってそれを手放していく、というのが著者の読みであると受け取った。 次年度の弊学のシラバスで、教授が「まずは自分の源氏論を確立するのを目標に」というようなことを書いていたが、特に長大なテクストにおいては作品を論じるまえに自分の読みを提示することが必要なのだろう。2022/03/12
910
1
読了まで長かった…2015/06/26
そーだ
1
『源氏物語』正篇(第一部・第二部)の優れた入門書。身体論などの理論をがっつり用いているので、少々難しいことは否めないが、『源氏』を読み解いていくのに大変有用。2011/07/06
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- 和書
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