内容説明
ハイテクが浸透し、現実がますます仮想現実と化してきたいま、文学は何をたくらんでいるのか?トマス・ピンチョン、筒井康隆、ルーディ・ラッカー、沼正三、スティーヴ・エリクソンらの小説を手がかりにした、ヴァーチャル・リアリティ時代の比較文学論が幕を明ける。
目次
序章 メタフィクションの覇権主義
第1章 V2・デッドヒート―トマス・ピンチョン『重力の虹』とポストモダン・リアリズム
第2章 〈怪物〉たちのよみがえった夜―筒井康隆『虚航船団』以前・以後もしくは超虚構工学
第3章 ピムとアリスとスチームパンク―ルーディ・ラッカーの『空洞地球』あるいはトランスリアリスト・メタフィクション
第4章 畜権神授説―沼正三『家畜人ヤプー』と日本神話の脱構築
第5章 マドンナはクリントンと寝ない―スティーヴ・エリクソンArc d’xとメタヒストリカル・ロマンス
終章 末だ語りえぬメタフィクションたち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つまみ食い
2
良質なメタフィクションSFの作品と批評文献のブックガイドとして有用2022/01/18
きつね
2
ピンチョン、エリクソンに関する議論も面白いが、やはり日本人読者としては『家畜人ヤプー』と『幼年期の終わり』を比較文化/比較文学的に読みとく章がすこぶる面白い。メタフィクションとは、フィクションの含み持つイデオロギー性を暴きたてるが、メタフィクションそれ自体もまた不可避的にイデオロギーを孕んでしまうーーでは、いかなるイデオロギーが、いかにして生成されるか? という問いの立て方が刺激的な本。2011/12/14
よく読む
1
現実を部分的にを取り入れつつ、新たなイデオロギーを展開していく作品が解説されていく。メタフィクションについては私は素人だが、おもしろく読むことができた。2019/05/26
りょーたに
0
メタフィクション論。中心はアメリカ文学だが、筒井康隆や沼正三など日本作家も扱っている。社会に存在するフィクションを脱構築するという意味でメタフィクションとして扱われるものがほとんどだった。2014/06/11
あかふく
0
アンチとして出てきた(と考えられた)はずのものが、いつのまにやらイデオロギーの側に落ち込んでしまっているのでは、というところからはじまり、個々の作品論作家論(ピンチョン、『虚航船団』、『空洞地球』、『家畜人ヤプー』、『Arc d'X』)などなどを書く。それぞれ完結したものとして面白く、興味があるものを拾っても良いし、読書ガイド的に知らないものについて読むのも面白い。また最終章が同時代メタフィクション言及についてのまとめになっているので、増補改訂版でそのあたりについて増やされているかどうか確認しなければなら2012/08/12