内容説明
城跡は多くの人に愛されている特別な遺跡です。城の何が私たちの心をとらえるのでしょうか。室町時代の館から戦国の山城へ。そして織田信長の安土城へ。城のかたちの変化を追ってゆくと、思いもかけなかった新しい歴史像が見えてくる。城には歴史の謎を解く楽しさが満ちている。
目次
第1章 城にたどる歴史(戦国の城に分け入る;悲観主義がつくる城 ほか)
第2章 城の探検(地図に城跡を読む;江戸時代の城と中世の城 ほか)
第3章 花の御所から戦国期拠点城郭へ(館と山城;歴博甲本洛中洛外図屏風 ほか)
第4章 城の語る天下統一(戦国以前の山城;戦国期拠点城郭の出現 ほか)
第5章 世界の中の日本の城(ナショナリズムと城;日本の城とヨーロッパの城 ほか)
著者等紹介
千田嘉博[センダヨシヒロ]
1963年愛知県生まれ。奈良大学文学部文化財学科卒。博士(文学)。現在、国立歴史民俗博物館考古学研究部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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きみたけ
50
著者は国立歴史民俗博物館考古学研究部助教授で奈良大学文学部教授の千田嘉博先生。城跡を歩く楽しさやコツなどフィールドワークの基礎から始まり、縄張り図から軍事戦略を読み解くポイントを伝授。さらにそこから見えてくる政治構造・地域社会の様相など、中世・近世史の謎をていねいに解明した一冊。安土城に代表される信長・秀吉スタイルの城(織豊系城郭)の展開について、一番興味が湧きました。2023/03/28
カズザク
3
室町幕府の将軍・公方、時の天下人・信長や秀吉が、トレンドの発信者。大名達は、彼らの館や城を真似して作る。昔も今も、流行り物好きなのが面白い。城は大名が、総構えは城下町の住人が、お互いが補完しあい町全体を敵の攻撃から守る。意外と大名が軟弱?庶民が逞しい?本丸を中心に曲輪や部下の館を配置した、絶対権力者の城。誰が見ても、誰が一番偉いのかが一目でわかる。一方で、本丸はどこ?本来であれば一番偉いはず大名と、有力な部下の曲輪が横並び‥何だか連携が取れていなくて弱そうである。城一つ見ても、やっぱり信長はスゴかった。2025/08/15
竜玄葉潤
2
なんとなく難しそうな本に思えて敬遠していたが、そこは千田さん、マニアック全開で、城の知識を語っている。2023/06/09
T-山岡
2
来年、山城探訪について人前でしゃべる必要が出たため、参考図書として購入。主に第二章までが山城の踏査について割かれているが、縄張り調査のイロハから藪蚊やマムシに襲われたりといった山城あるある(笑)まで千田先生のユーモア溢れる語り口が展開されており、楽しく読み進められた。2016/12/25
菜巳
2
お城の入門書として適切。 織田信長にみる求心化、階層化にも触れてあり、千田先生のぶれない論説が読める。 最後にページは少ないもののヨーロッパなどとも城郭を比較してある。 昨年ドイツにいらした理由かなと思えた。2014/08/15




