ちくま文庫
死体と戦争

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  • サイズ 文庫判/ページ数 263p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480039187
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

大量の死体を生みだす戦争。その極限状況を経験した人間が、やすやすと社会へ復帰できるのか?私たちの父や祖父たちが見た戦場の風景は彼らの心の奥底に沈み込みながら、今も日常生活のヒズミのようにポッコリ顔を出す。死体と死に心を奪われた人たちの姿を追うことで、日本人にとっての戦争とエロスの意味を問い直す。

目次

第1章 死体を視る(心中遺体鑑識百体の温泉医;腹上死・死に至るまで生の昂揚 ほか)
第2章 死体に触れる(死体化粧チームの頃;刺青の皮を剥ぐ博士 ほか)
第3章 戦争と死体たち(私は戦争で殺されることの礼讃者;ある人肉嗜食者の回想 ほか)
第4章 死体志願者たち(千年王国の訪問者たち;死の実験家たち ほか)

著者等紹介

下川耿史[シモカワコウシ]
1942年福岡県生まれ。サンケイ新聞社を経て、フリー編集者、家庭文化史、性風俗史の研究家として活躍中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

71
監察医、教誨師、今で言うエンバーミングなどそして戦争にまつわる死について書かれている。時間をかけて耽読するとおそらく気分が悪くなりそうだったのでそこはさらさらと読んだ。しかしその気分の悪く出来事が今も世界各地で起きていることは間違いなくいつそんな状況に遭うかもしれない。ある監察医の方が書かれていたのを不確かだが思い出した。死んだ人よりも生きた人間のほうが恐い。この本を読んで感じたのはその生きた人間がこれから生きた人間を死体にしようとする行為のほうがずっと恐いと。それが国ぐるみだからもうどうしようもない・・2016/08/19

GAKU

56
題名から戦争時の死、死体にまつわるノンフィクション物かと思ったら、それは一章のみでした。元々『死体の文化史』という単行本を改題、再編集のうえ文庫化したものでした。「死体を視る」、「死体に触れる」、「戦争と死体たち」、「死体志願者たち」の四章からなっています。内容はというと、腹上死、性交したままのミイラ、刺青死体の皮はぎ、死体フェチ、戦争時の虐殺とカニバリズム、東京大空襲の悲惨な死体描写、死への願望者等々、とにかくおぞましい内容が次から次と出て来ます。普通の人は絶対読まない方が良いです。⇒2016/08/13

Metonymo

3
「兵士は死や死体について、どんな思いをいだくのか、さらに餓死寸前の状態で敗走を続けているとき、戦争とか、それを仕掛けた国家について、兵士はどんな思いを抱くのだろうかなど、私の気がかりなことを教えてくれる本は皆無だった」第3章の”戦争と死体たち”の戦地での人肉食、釜石での艦砲射撃、東京・大阪大空襲など、苛酷を極めた戦争体験談の聞き取りがすさまじい。2013/05/25

津川真里奈

2
必ずしも戦争にまつわる話ではなく、一貫して様々な死体の話。本書の冒頭は「もう十年近く前になるが男と女がセックスしたままのミイラがあるという話を聞いたことがある」。「人工的な」死はおもしろい、など作者のうんざりするくらいの変態性が滲む文体も見所でした。中盤の戦争の項目では教科書にはない様々な死や死体のオムニバス。2016/04/06

Mr.deep

1
「持ってきたゴミを火に投げ込もうとして間違えて背負ってた赤ん坊を投げ込んだ若奥さんが『あっ間違えた』って呑気につぶやいた後、事態に気づいて発狂した」ってエピソードが印象に残ります。これぞシリアスな笑いの究極(違2019/08/25

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