内容説明
権力と相互依存、暴政と同意など、「ヨーロッパ文化」の形成とともに生まれた、「政治」をめぐる多様な知の営みは、いかなる特質をもち、どのように展開したのか。一貫した眼差しによって中世政治思想を明快に描き出す。
目次
第1章 一二世紀人文主義と政治思想
第2章 教会法学と権力論の成長
第3章 アリストテレス政治学の衝撃
第4章 教会権力論の発展
第5章 政治共同体論の自立
第6章 教会論の転回
第7章 危機の教会論
終章 ヨーロッパ政治思想の誕生
著者等紹介
将基面貴巳[ショウギメンタカシ]
1967年生。1998年シェフィールド大学大学院歴史学博士課程修了(Ph.D.)。ケンブリッジ大学クレア・ホールのリサーチフェロー、英国学士院中世テキスト編集委員会専属研究員、ヘルシンキ大学歴史学科客員教授などを経て、ニュージーランド・オタゴ大学人文学部准教授、人文学部副学部長(研究担当)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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渡邊利道
6
これは面白かった。12世紀から14世紀にかけて政治が自律的な言説として成立して行く経緯を辿った本。ソールズベリーの政治共同体を身体として体系的に論じるものから、アリストテレス『政治学』再発見以前より政治を哲学的に分析する思考が生まれており、アリストテレス再発見はそれよりも大きな変容の中の一コマであるとする。そして教会論から権力論へとつなぎ、ダンテやマルシウスなどに知識人の参入と、教会から公会議主義へと至る流れの背後に、スコラ学の普及による言語コミュニケーションへの信頼の涵養を見る流れがすごく説得的だった。2018/10/15
たけぞう
4
12~15世紀の政治思想史の概説書としてまとまっていながら、研究史がきちんと扱われてて最近の成果も反映されているし、問題意識がはっきりしている。文章も素晴らしい。もっと早く読んでおけばよかったと思う。2014/05/15
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