内容説明
「世界一高慢でいやなやつ」と思われていたダーシーの、別人のような丁重な態度に驚き戸惑うエリザベス。一度プロポーズを断わった私に…。妹リディアの不始末、ダーシーの決然とした行動、キャサリン・ド・バーグ夫人の横車…。エスプリあふれる笑い、絶妙の展開、そして胸を打つ感動。万人に愛される英国恋愛小説の名作中の名作。オースティン文学の真髄を伝える清新な新訳でおくる。
著者等紹介
オースティン,ジェイン[オースティン,ジェイン][Austen,Jane]
1775‐1817。イギリスの小説家。おもに結婚話を題材とした、平凡な日常生活のドラマを皮肉とユーモアをもって描き、完璧な芸術へ高めたと言われる
中野康司[ナカノコウジ]
1946年神奈川県生まれ。青山学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
336
ここで描かれるのは、リージョナルな世界でありながら、19世紀初頭のイギリス社会の構図を鮮やかに浮かび上がらせる。そして、それでいて時代を超えた共感性をも併せ持った作品―と言うと、やや言い過ぎだろうか。少なくても上巻はそうだ。下巻に入って、幾分通俗的になったのは否めない。エンディングでは何もかもが(リディアを除いては)うまく行き過ぎだ。もっとも、穿った見方をすれば、大陸ではナポレオンが台頭していたこの時期、イギリスでも封建貴族制に綻びが見え始めていた、もしくはその予兆をオースティンが感じていたことの現れか。2015/07/19
紅はこべ
147
100分de名著を見終わって感じたのは、講師の先生があまりエリザベスを好きでないようだということ。オースティンヒロインの中でも特に人気の愛されキャラなんだけど。私も今回読み返して違和感を改めて感じたのは、エリザベスがシャーロットとコリンズの結婚に猛烈に腹を立てたこと。ベネット家の利害に関連しているのでなければ、あれ程disったとは思えない。そういう意味ではエリザベスは母親と同類。ジェインの方が公平だね。2017/08/01
はたっぴ
105
下巻も気持ちよく読了。結婚が(女性にとって)社会的な地位と経済力を確保する手段だった時代、エリザベスのように痛快な言葉で相手をやり込める女性が幸せを掴むのは難しかっただろう。物語が進むにつれ、賢明なダーシーと聡明なエリザベスが自ら〝高慢〟と〝偏見〟を改め、歩み寄ったことで幸福への道が開かれて本当に良かった。案の定、障害は多く適度にヤキモキさせられ、焦らされながら迎えたハッピーエンドにほっと胸を撫で下ろした。お約束のような結末でもこの2人なら大歓迎だ。【G1000/40】2017/10/23
ビブリッサ
89
再読。とにかく未読なら読んでホスィ。誰でも偏見をもっている、多少持っていないと、感じ方に個性がなくなってしまう。ただ偏り過ぎるとややこしいのだ、笑。次々に明らかになるダーシーの真の姿に、エリザベスと共に恥じ入る読者は多いはずだ。本書は「恥ずかしい間違いでもしっかり謝って真摯に向き合えば手を取りあえる」と希望をくれる。エリザベスの父の「隣人に笑われたり、ときには逆に彼らを笑ったり、それが人生」との台詞に、落語の「芝浜」を聞いた後に似た、人の愚かさと愛おしさとストンと心に落ちる心地よさを味わえる名作だ。2016/08/23
ペグ
88
上巻はほぼ会話体が占めているというか訳に違和感を感じましたが、下巻は慣れたせいかサクサクと読み進みました。一見、ソープオペラに思える物語の底に実はその時代の制度や法律、習慣、人間関係が根付いていて息苦しい。ジェイン.オースティンの底力を感じます。この小説はエリザベスの成長物語であり次の時代への道しるべだと感じました。2017/10/04