内容説明
「ほしかったらわたしを追っかけてきて、つかまえなさいな。」宴のさなか、艶麗な女主人は一糸まとわぬ姿になって走り出した。男は狂ったように追いかける…秀逸な「床屋の身の上話」、夜の闇をつらぬいて皓々と輝く楼閣に、夢のような光景がくり広げられる「アリと乙女ジャリスの物語」、戦いと愛のロマン「オマル王とふたりの息子の物語」など、驚きと不思議にみちた魅惑の物語の数々。
目次
せむし男の物語(第二十七夜‐第三十四夜)(料理頭の話;ユダヤ人の医者の話;仕立屋の話;床屋の身の上話;仕立屋の話の結び)
ヌル・アル・ディン・アリと乙女アニス・アル・ジャリスの物語(第三十四夜‐第三十八夜)
恋に狂った奴ガーニム・ビン・アイユブの物語(第三十八夜‐第四十五夜)(最初の宦官ブハイトの話;二番めの宦官カフルの話)
オマル・ビン・アル・ヌウマン王とふたりの息子シャルルカンとザウ・アル・マカンの物語(第四十五夜‐第九十五夜)
著者等紹介
大場正史[オオバマサフミ]
1914‐1969年。佐賀県生まれ。本邦初の『バートン版千夜一夜物語』の完訳を遂げたほか、外国文学、性風俗をめぐる、多数の著書・訳書を遺した
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感想・レビュー
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ハイク
121
ここでは27から34夜の「せむし男の物語」である。ある男が王宮の女性と結婚してカミン肉汁を食べた時、本来なら食後は手洗いを何度もやるが忘れてしまった。妻は烈火のごとく怒り罰則として手足の親指をすべて切断した。昔は恐ろしい仕置きである。でもせむし男には似たような話が数多きあり面白味がない。「ディンとジャリス」「ガーニム」はハッピーエンドの物語である。いにしえの昔からこの種のストーリーはもてはやされたのであろう。最後は長文の「オマル王と二人の息子」の波乱万丈の物語である。この巻で終了せず3巻に続くようだ。 2016/09/19
中玉ケビン砂糖
69
、【第27夜~第95夜】、「せむし男の物語」「ヌル・アル・ディン・アリと乙女アニス・アル・ジャリスの物語」「恋に狂った奴ガーニム・ビン・アイユブの物語」「オマル・ビン・アル・ヌウマン王とふたりの息子シャルルカンとザウ・アル・マカンの物語」を収録、読んでいると、時々自分が今どこの線を走っているのか、どの箱におさまっているのか、わからなくなって軽い眩暈を感じる、めくるめくおはなしの断片しかすくい取ってやることができず、読むのにかなりの困難を要した、とは言ってもまだ2巻目なのだ、まだ煙にまかれるわけには、、、2015/01/20
優希
36
驚きと不思議の物語が次々と紡がれていくのが面白かったです。物語は魅惑し、読者側は魅了されると言って良いでしょう。2024/01/31
しんかい32
10
「せむしの物語」すごい。星新一の「死体ばんざい」って、オチまでこれと一緒じゃんか。あと仕立屋、ここまで読んできて、こんなに立ってるキャラが出てきたのは初めて。後半は大長編「オマル王と二人の息子」。三国の争いを描いたけっこう複雑なストーリー。相撲の強いアブリザー姫はインパクトのあるキャラだけに、早めの退場が惜しまれる。アル・ザマン姫の説教はすごいつまらん上に後の展開とも無関係。あれなんだったんだ。2011/03/01
かもすぱ
8
読みやすさが本当に体調に左右される…。イスラム教徒対キリスト教徒の戦争譚、長くて退屈だと思っていたのにいいところで終わるから結局続きが気になる…。でも本当に長い。あと9冊で5400ページか…。2016/03/09