内容説明
人生が深いよろこびと数々の翳りに満ちたものだということを、まだ知らなかった遠い朝、「私」を魅了した数々の本たち。それは私の肉体の一部となり、精神の羅針盤となった―。一人の少女が大人になっていく過程で出会い、愛しんだ文学作品の数々を、記憶の中のひとをめぐるエピソードや、失われた日本の風景を織り交ぜて描く。病床の著者が最期まで推敲を加えた一冊。
目次
しげちゃんの昇天
父ゆずり
ベッドの中のベストセラー
本のそとの「物語」
『サフランの歌』のころ
まがり角の本
葦の中の声
星と地球のあいだで
ひらひらと七月の蝶
シエナの坂道
小さなファデット
父の鴎外
クレールという女
アルキビアデスの笛
ダフォディルきんいろにはためいて…
赤い表紙の小さな本
著者等紹介
須賀敦子[スガアツコ]
1929年生まれ。翻訳家・エッセイスト。主な著書に『ミラノ、霧の風景』(白水社、女流文学賞・講談社エッセイ賞)『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』(文春文庫)『トリエステの坂道』(みすず書房、新潮文庫)『ユルスナールの靴』(河出文庫)、『須賀敦子全集』(河出書房新社)などがある。またナタリア・ギンズブルグ、アントニオ・タブッキ、ウンベルト・サバなどの訳書の他、川端康成、谷崎潤一郎などの作品のイタリア語訳がある。1998年没
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