内容説明
“せどり”(背取、競取)とは、古書業界の用語で、掘り出し物を探しては、安く買ったその本を他の古書店に高く転売することを業とする人を言う。せどり男爵こと笠井菊哉氏が出会う事件の数々。古書の世界に魅入られた人間たちを描く傑作ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
150
標題作について。ブックオフで本を漁り幾分かの希少本に会えることを楽しみにしている身としてはかなり共感しました。しかも内容がウイット且つ、奮っていてオチも素晴らしい!2023/09/17
射手座の天使あきちゃん
149
ほとんどの方が「ビブリアに 興味惹かれて 迷い道」って感じで辿り着いたんでしょうね(笑) この本ではビブリオクレプト(書盗狂)とかビブリオクラスト(書物破壊症)と表現されていますね ビブリオ? ビブリア?? どっちなの??? 第六話はちょっとグロかったです!! (>_<)2012/09/03
ダリヤ
133
贈り物で頂いた本。和綴じ本、と字を読むだけで、古書店のにおいや景色があふれかえる。古書業界をすこし知ることができ興味深い部分もあったが、あまりにもマニアックな人々ばかりで気持ち悪さや怖さが残った。わたしにとっての古書は狂気につながらないからだろうか、とても怖い世界だった。2015/03/19
佐々陽太朗(K.Tsubota)
133
物語は掘り出しものの古本を安く探しては別のところへ高く転売する仕事(せどり)を生業としている笠井菊哉という男が経験した数奇な事件を、文士である「私」が聞き出すというミステリー仕立ての連作短編小説になっている。登場するのは愛書家、書痴、書狂、ビブリオマニア、まあ何と呼ぼうと要は異常に古書に取り憑かれた人の織り成す物語だ。古書がらみの小説で私が好きなのはジョン・ダニング『死の蔵書』を初めとするシリーズとカルロス・ルイス・サフォンの名著『風の影』だが、『せどり男爵数奇譚』はそれらに優るとも劣らない名著だと思う。2011/12/16
ruki5894
119
せどり男爵。読むほどに引き込まれるが…最後の一遍は、さすがにドン引き。知らない言葉もいくつかあったし、クセになりそうな雰囲気があった。2017/02/23