内容説明
文明開化の足音がする明治。激しい時代の変遷と苦しい生活の中で人間が生きている真の意義をつかむ佐藤光之助。築城家三代にわたる闘争の歴史も終わりをつげようとしていた…。時代小説史上燦然と輝く大傑作、遂に完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アヴィ
1
徳川を信じ侍にこだわり続けた築城家三代の物語も、その終焉と共に終わりを向かえる。時代は明治の御代、ご一新に対応出来なかった層も多かれと思うが、佐藤光之助もそんな一人。佐藤家熊木家の物語を父の思い出と共に回想し、行き着く考えは熊木公太郎が生きているのではないかという疑問。そうして公太郎探しの旅に出る光之助。最後の最後まで人を魅了し続け、そして人を動かし続ける公太郎、作者がこの長い物語の主人公とした理由が最終巻においてはっきりする。2025/10/01
(^_^)/
1
ついに完結。三世代の長きに渡る二家の奮闘の歴史を書ききった著者の筆力には感嘆するのみ。読み終わった今、全てが懐かしい。両家の人間のみならず、彼らに関わった人々みんなの顔が目の前に浮かんでくる。人に歴史ありということが、読んで面白く、我が身に引き寄せて生々しく、思い出して愛おしく感じられる、世にも素晴らしき大衆小説であった。2016/09/01
tsukamg
1
最終巻は光之助の物語。勤め人になるもプライドが災いして三日で職を辞し、生活に窮している。そんな彼が最後に到達する境地は、佐藤熊木三代の争いの大団円にふさわしい。幕末編とこの明治編はすこぶる面白かった。時代小説の範疇を超え、人の一生とは何かという普遍的なテーマを包含するだけの大きさがあった。大長編ならではの醍醐味だ。2016/07/10