内容説明
天保元年、物語の舞台は再び富士の裾野愛鷹山麓へと戻る。二十数年前、調練城築城軍師決定の真相を暴くために佐藤熊木両家は生証人、花火師美濃屋竜吉を探し出す。彼の持つ口書調印状が、全ての鍵を握っていた。ひょんなことからこの証状は公太郎が先に入手したのだが。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アヴィ
1
帰来編の名の通り舞台は再び富士の裾野となる。血族として争う定めの公太郎と兵之助、既に忘れているような登場人物を巡って二人は争う。兵之助とお園の禁じられた恋は燃え上がるが、お園を想う兵之助は行動に出る。公太郎も赴くままに、あっさりと結婚する、このあたりの流れはやはり公太郎らしい。こうして物語は三代目の誕生により一気に動き出す。2025/09/29
tsukamg
0
公太郎と平之助の人生は、日向と日陰のごとく対照的に進んでゆく。公太郎は相変わらず、何も考えていない様子で、本巻ではそれが功を奏している。平之助とお園の恋はいよいよ抜き差しならぬところに至る。公太郎も伴侶を得るが、こちらは例によって飄々。女にとっては、公太郎の方が幸せになるだろうが、平之助の方が燃えるはず。ラストのお園の台詞が哀しい。2016/06/23