内容説明
人間は不平等だ。悪いといおうが、いけないといおうが、事実だ。しかし現実がどうであろうとこの世に生まれた以上、あなたは幸福にならねば…。誤まった幸福観を正し、人間の本当の生き方とは何か、幸福とは何かを、平易な言葉で説いた刺激的な書。
目次
美醜について
ふたたび美醜について
自我について
宿命について
自由について
青春について
教養について
職業について
「女らしさ」ということ
母性〔ほか〕
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
58
女性向けの月刊誌「若い女性」に連載されたエッセイをまとめたもの。昭和30(1955)年頃に書かれたものなので、多少古いと感じる部分もあり、美醜や母性、恋愛、結婚などがテーマになっているので、女性向きと思うかもしれないが、性別に関係なく読む価値があると思う。「美醜について」では自分の容貌は受け入れるべきであるとしたり、「教養について」では「文化とは生き方である」とするなど保守派の立場からの考え方が述べられていて、70年程前のものにも関わらず現代でも通用すると感心するだけでなく、とても刺激を受けた。2024/10/19
Y2K☮
40
女性誌に連載していたエッセイ。とはいえ内容は男にも通ずる。要は「楽園など無いよ」と。理想と現実の狭間で折り合いをつけるのが人生の本質。諦めるのではなく受け入れ、その上で今を楽しむ。快楽主義とは欲への耽溺ではなく、適度に楽しむ為に己の意志でコントロールすること。そこから「楽は苦の種」「束縛あってこその自由」と悟るべし。熱を冷却する水があって初めて鋼は強度を持つと。和と不和は表裏一体。願望が叶った瞬間からすでに幻滅は始まっている。そこで投げ出せば堂々巡り。シビアと前向きを混在させつつ、甘い夢想を断ち切る一冊。2017/07/26
yutaro sata
34
福田さんは、悲観しているのでも楽観しているのでもなく、なるべく嘘を吐かないように、徹底的に現実を見つめて常識的に物事を考えようとしているように思う。自由や宿命の話、戦後という喪失のなかでの態度、教養についてなど、主に前半部が良かったと思う。 後半部は、あれだけ鋭敏な福田さんでも、こういうお説教調の語りがいかに無効であるかに気がつかないものかしら、と思っていたら、あとがきでそのことに触れられていたので思わず笑ってしまった。前半部を読んでね、というような主旨のことが書いてある。2023/08/22
Shoji
28
昭和三十年、三十一年に書かれた本です。まず初めに、人生とは不合理や不平等に満ち溢れ、抗うことのできない宿命を負っていることを前提にしています。さらに、ジェンダーの平等性や家事労働の分担、家父長制など、現代には即さない内容もあります。しかし、我慢して読み進めていくと、令和に生きる現代人こそ一読する意義がある内容でした。その意義とは「令和とは、なんと生き辛い世の中なんだ」と考えさせられるものでした。私個人は「教育と教養とは別物」と論じている章が興味深かった。教育より教養を高める必要性を痛感した。2024/12/06
ももたろう
27
再読。前回と同様「美醜について」が興味深く読めた。自分の欠点・弱点から目をそらすのではなく、それを認める事が大事だよ、と。今回特に興味深かったのは「恋愛について」の部分。今は嫌になると簡単に別れてしまう時代。これは本当に良くない事だと切に思います。だからこそ、著者のような考え方を大事にしなければならないと強く思う。恋愛って、話しやすいテーマだからか、偉そうに自分の経験を語る人をよく見かける。こう言う教養ある人物の言葉をこそ、現代では大事にされなければとつくづく思います。もちろん、自分も含めて。以下、引用。2018/04/30