内容説明
その国では、つまらない言い争いと激しい内輪もめが延々と続いていた。その国の人々は私利私欲を優先し、指導者は生まれなかった。その国は、国であることをあきらめた。スコットランド―タータンチェック、ウイスキー、ネッシーの国。そんな素朴な顔の下にひそむ、ドロドロで、おかしくて、やがて哀しき歴史を、しれっとしたユーモアにくるんで描く。イラスト多数。
目次
ビーカー族
チェンバー(住まい)
立石(スタンディング・ストーン)
ブロホ(円塔)
ピクト族
ローマ人
ユリウス・アグリコラ
カレドニアの長、カルガカス
アントニヌスの城壁
侵入者の波(キリスト教;スコット人)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
244
スコットランドの起源からイングランドへ併合するまでの時代をおもに人物(統治者)ごとのエッセー風な作品となっている。スコットランドは戦争・侵略・謀略の血で血を洗う戦いの繰り返しの歴史であり、救いがたい暗黒の歴史ともいえる。ただスコットランド人の気質はイングランドに併合された現在でも厳然と残っていて言葉は英語のほかにゲール語も使用されているし、独立闊歩した精神は、今のEU離脱問題にも大きな影響を及ぼしている。2018/08/06
たまきら
25
読み友さんから。はっきりいって、この国マジいいとこなし。めったにお日様もみられない荒れ果てた国土、粗野で疑り深い国民性。負け続けてきた戦史…。でもなんだかいろいろなところが日本と重なる。へったくそな外交、強大な隣国の影でイライラしつつもかなわないところ。奇妙なまでに強い自国文化へのプライド。まあ、料理的にはうちの国の方が上だけど。…そんなことを率直に作者と語り合ってにやりとしたいなあ。面白かった。Europe bloody Europeもよんでみたいな。2016/12/22
veri
14
無茶苦茶なんだねスコットランド…と言いたい所ですが、結局文明化するまではどこの土地でも血で血を洗うわけで。日本だってどこだって多分そう。あと、ハイランダーと侍って似たところあるんじゃない?と思いました。信念の為に死ぬことを厭わず闘うところが。ハイランダーも侍も散ってしまっても、日本刀やキルトはちゃんと残って尊敬を得ている。やっぱり素敵なものって淘汰されないんだなーと思いました。2014/09/01
tsubomi
9
2016.05.14-05.31:スコットランドの古代から18世紀までを奇妙に愛らしいイラストつきで紹介した本。事件や人物や民族ごとに分けて短編集のように書かれてあるのでそれぞれのエピソードについて読みやすい構成です。ただし時々時代が前後するのと歴史上の人物の名前が似通っている(ジェームズ6世=イングランド王ジェームズ1世というのは有名だとしても)のとで、やや頭が混乱することも。。。同情心や共感性だけでなく強い皮肉や自虐・自嘲が多く含まれ、さすがにこういう内容はスコットランド人じゃないと書けないなあと。2016/05/31
viola
9
スコットランド史をもっと勉強しなければ!と思って手に取った1冊。『とびきり愉快なイギリス史』があまりにも酷かったので躊躇したけれど、著者は違うし、翻訳は小林章夫氏だし。「哀しすぎて、笑える」?いや、ちっとも笑えませんでした。英国ユーモア合わないしなぁ。そもそも史実知らないとユーモア分からないし。せめて人物名知らないと「そうなんだー」とも思わず読み流しちゃっています・・。+ユーモアになるとどこまで書いてあることを信用していいのかも分からず、入門書のように見えて、入門書には向かないのかな。2011/09/04