内容説明
太平洋戦争は子供にとっても「聖戦」だった。アメリカ映画が観られなくなった日米開戦、自分とジャングルが地続きになった!と喜んだシンガポール占領、映画が観られずイライラした集団疎開…。一人の少年が戦争下の日々をどのように過ごし、成長したか、という私的かつユーモラスなドキュメント。
目次
「皇紀二千六百年」十一月のモダニズム―1940年
開戦まで―1941年
毎日が「お祭り」―1942年
「米英的」なるものを求めて
開戦一周年の「特撮映画」
ガダルカナル島撤退前後―1943年
若い天才監督の登場
活劇の法則
「熱風」と「大東亜会議」前後
「無法松の一生」の皮肉な運命〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とみやん📖
9
小林信彦さんの本を以前から読みたいと思っていた。東京の古き良き時代を知る人なので。 両国の菓子屋さんの家に昭和7年に生まれた方でゆとりのある生活だったのか、映画三昧の日々だったらしい。皇紀2600年の1940年から憲法発布の1947年までの戦前の映画コラムといった内容。 飯能と新潟への疎開、戦後の闇屋生活など、少年時代の経験も織り交ぜ、当時の暮らしをリアルに知ることができる。小林少年はラジオや新聞から当時の国情をかなり冷静に理解していたのが驚き。嘘をついたマスコミ、自由を奪った集団疎開の2つが印象的。2020/08/10
unterwelt
1
戦時中に作られた映画にも<アメリカ的>なものが入っていたり、集団疎開の辛さも分かった。ただ、それ以上に衝撃的だったのは、戦前の下町でモダニズムやアメリカ二ズムに触れてきた著者が<国策映画><プロパガンダ映画>を観続けさせられてしまうことでアメリカ人への印象を悪化させたことでした。2016/01/05