内容説明
1780年11月4日、スペインの代官を急襲したインディオたちによって反乱の火ぶたは切られた。圧制者スペインを倒せ!首謀者トゥパク・アマルのもとに結集するインディオたち…何十万のインディオが参加し、八万人の命が犠牲にされたトゥパク・アマルの反乱とは何か、何が彼らを立ち上らせたのか。残された資料を渉猟し歴史ドラマを展開しつつ、今日のラテン・アメリカの歴史的背景を明らかにする。
目次
1 戦闘開始
2 反乱の背景―ラテン・アメリカの植民地時代
3 トゥパク・アマルの反乱
4 反乱止まず
5 反乱拡がる
6 停戦と復讐
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Arte
1
18世紀のペルーでスペインの植民地支配に対して反乱を起こしたインディオの話。文章能力が高く、手紙で理を説こうとする傾向にあるトゥパク・アマル(というインカ帝国最後の皇帝の子孫を名乗っている)は、副官の妻の助言に従わず、ぐずぐず攻撃を躊躇って反乱に失敗し(そもそも兵力差が大きくはあったが)一族郎党残虐に処刑される。アメリカで生まれたスペイン人も、本国出身のスペイン人から差別されていて、植民地側の人間なのね。繰り返し語られるインディオの裏切り、スペイン人の卑劣残虐ぶりが凄過ぎる。2020/10/16
三条院アルパカ
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タイトルに血塗られたインディオとあるが、血を塗ったのはスペイン人である。その非道はまさに人を人とも思わぬものであり、インディオとの約束は決して守らない。強制労働と、住民にガラクタを高価で買い取らせる強制配給、残酷な処刑・虐殺。トゥパク・アマルはこれら抵抗することを忘れたインディオたちを立ち上がらせたまでは良いが、武器と戦術の不足と人の良さが災いして敗れていく。驚くべき点はインディオのキリスト教への崇敬がなお一貫していたことだと思う。南米から法王が出たことにも、これらの歴史の面から改めて深い意義を認識した。2015/05/21