ちくま文庫<br> 我らが共通の友〈上〉

ちくま文庫
我らが共通の友〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 564p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480032164
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

テムズ川を一艘のボートが、男の死体を曳いていく。名はジョン・ハーマン。父が塵芥処理業で築いた莫大な遺産を受け継ぐため、帰国したばかりだった。その晩から、さまざまな人々の運命が、少しずつ狂い始める。やがて、かわりに遺産を相続したボッフィン氏のもとに、「秘書」にしてくれという男が現れた―。密度の濃い人間ドラマが息もつかせず展開される、ディケンズ文学の集大成。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

105
テムズ河は人生、塵芥の山は富・破壊・再生を象徴し、社会像とそこに"埋まった"生の意義を追求する。主軸は富を嫌う男と富に憧れる娘、冷笑的な弁護士と非合法を生業としつつ知性を求める貧しき娘のダブルロマンス。男性陣は父から押し付けられた生き方を、女性陣は男性優位をそれぞれ拒絶して幕を開ける。「生きながら死んでいる」「我らが共通の友」は重要モチーフ。元使用人の善意こそがストーリーの舵を取る。数奇な形で本心から絆を築く主役達は、アイデンティティが軽佻浮薄で単なる知り合いを友人と呼びたがる上流階級と明確に対比される。2018/06/15

NAO

69
【誕生月にディケンズを】ビクトリア朝のロンドン。ディケンズが描く最下層の人々の暮らしは、どこまでも暗く、おどろおどろしい。そして、どこまでも空虚なブルジョアたちの生活。その空虚さから生まれた新婚夫婦は、互いに見栄を張り合ったうえでの相手の財産目当てだったという空虚さの極み。皮肉たっぷりでシニカルな描写が多い中、どこかに必ず心優しい人がいるところがディケンズの優しさだろうか。冗長でなかなか話は進まないが、伏線らしきものもたくさん見えて、それが以後どう発展していくのか、中巻へ。2018/02/07

ゆーかり

17
ディケンズ14作目の長編小説(大いなる遺産の次、完結作品としては最後の長編小説)。莫大な遺産を受け継ぐはずだった青年の死体がテムズ川から引き上げられる。殺人?犯人は?当時大人気のストーリーテラーの ディケンズ、推理小説のようでもあり最初から引き込まれるのだが、話は周囲の人々に広がっていきなかなか進まない。相変わらず金持ちや軽薄な人々には手厳しい。正義の味方、清廉潔白なイメージの ディケンズだが、エレン・ターナーとの事を考えるとなんだかねぇ。またしても解説をチラッと見るとネタバレが。中巻へ。2023/10/28

フリウリ

13
塵埃業者の父から、ある女性との結婚を条件に莫大な遺産を残された息子が、テムズ川で死体となって見つかった。遺産は、父の仕事を手伝っていた善良な夫妻に渡るが、その遺産を核として、さまざま人物が入り乱れていきます。「我らが共通の友」とは一体誰なのか? サスペンス仕立てですが、霧の立ち込めるロンドンを舞台に、個性際立つ人物たち、そして社交が善悪取り混ぜて巧みに描かれ、えも言われぬ小説世界が展開されています。ディケンズ最後の長編小説。1865年刊。92024/08/13

viola

8
論文や関連書を読んでいたら、これからの引用がディケンズの中でも物凄く多かったので読んでみました。うーん、ディケンズってすごくアイロニーが多いけれど、特にこれはすっごい!ですね。ある程度勉強した後だと、こんなところに皮肉が~~~と見えてきて、これまた楽しかったり。上巻の前半は楽しかったのに、後半になるにつれて・・・・なのは残念。これからまた面白くなるといいな。2010/10/31

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