内容説明
「古稀」を過ぎた今なお、締切に追われる地獄のような忙しい日々をボヤキながらも、“妖怪”と聞くだけで自分でもわけがわからないくらいに元気になってしまう水木センセイのしみじみ面白エッセイ集。水木幸福学の真髄。
目次
1 妖怪病
2 天国病
3 締切病
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
50
水木センセイの妖怪にまつわるエッセイ。生い立ちから軍隊や戦後の暮らし。そんなことがちらりちらりと伺われながらも、水木センセイらしい話にほっこりしつつ、妖怪そのものには畏敬を覚える。2024/08/10
ホークス
9
この話どこかで読んだなあ、と言うことが何度かあったが、そんなことはどうでもいい。いや却って、昔を思い出した様な懐かしい気分になって、水木しげるを読む楽しみの一つと言えるのではないか。それにしてもこの人は、ボケるぞボケるぞと言いながらそんな気配もなく、いよいよ本物の妖怪に近ずいてきた感じがする。2015/02/17
tama
8
図書館閉架本 1992年 水木ファン 一番ショッキングだったのは、同居してた母親が「鬼太郎のストーリーを描いて、使えと言い、実際に5,6本使った」という話。鬼太郎漫画はリアルタイムで読んでたがそんなど素人の書いた筋書きにがあったなんて気づかなかった。読者側の問題なのか。十万億土は「年中夕暮れみたいな」?極楽ってそう言うところ?まあ、余計な刺激のない世界なんだろうねえ。でも「死の島」はちょっと違わないかな。あの絵からは「死への恐怖」が感じられる。白土三平は足の裏真っ黒だったというのは想像の範囲内だがショック2022/05/19
APIRU
6
水木しげるの幸福論が遺憾なく綴られたエッセイ集です。さまざまな媒体に寄稿されたエッセイが集められており、語られている内容は妖怪のことや戦時中の体験、日常的なエピソードなど。思わず笑ってしまう滑稽談もあれば、慧眼恐れ入る主張や独自の視点もあり、どこを掬っても水木大先生の世界観が楽しめます。そして文章も独特のリズムや言葉選びで、それがまた実にいい。70年代80年代に書かれたものが多いようですが、内容としては令和のこの時代でも唸るものがあるというか、寧ろいまの時代だからこそ一層含蓄が感じられるような気もします。2025/08/27
kamome555
6
水木さんのエッセイは多く読んでいるけどこれは最高に好き。あとがきに南伸坊さんが「そこらじゅう賛成だからいちいち嬉しい。でもじゃあどこが?っていうと手際よく言葉に替えられるようなところじゃない」というような事を書いてるけど、その通り。そこらじゅう賛成で、読んでいるとワクワクして、トシをとるのも死ぬのも悪くないなという気持ちになった。2時間しか働かない楽園に生きたい。2014/06/24