感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
265
本書は以前に読んだ「ビビビの貧乏時代」の収録作品と重複した内容ですが、いいものは何度読んでもいいですね。という訳で名作「なめちゃん」はそちらに書いていますのでよろしければ未読の方はまたお読み下さいね。こうしてみると水木先生の本質は独特なユーモア感覚にあるのだと思いますね。今回はご自身の抱腹絶倒の自伝漫画を紹介させて頂きますね。『落第王』しげるは両親が算数の試験が0点ばかりじゃなあ、と高等小学校を出ると大阪の製販屋で勤めるが奥さんに呼ばれると居眠りをしており慌てて起きると押し入れに頭を打ち便所に行きかける。2022/02/12
ホークス
32
昭和20〜30年代の赤貧生活をモチーフにした短編が中心。締め切りは厳しいが原稿料は安い貸本時代で、出版社も零細で明日をも知れない。世の中は差別や暴力が横行し、今と比べ相対的に命が軽い。登場人物たちはいい加減な憶測で商売を始めたり、少しでも得しようと仲間を出し抜いたりするものの、結果はさっぱりだ。しかし皆文句を言いつつも図太くしぶとい。またどこか間が抜けていて、懸命さ故の可笑しみを感じる。南方熊楠と宮本武蔵の話も入っていて、こちらも水木流人生観が面白い。時々帰って来たい世界だ。2017/11/05
アナクマ
28
ヒリヒリザラザラ。ヤワな手で触ると鑢られる。◉盗む者、奪う者、騙す者、騙される者。やむにやまれぬ者、うまくいかない者、虫のように死ぬ者。そしてなめちゃん。こういう時代・場所が、世に出る前の作者の世界であり(優れた記録!)、当然にユーモアもあるものの、もはやここには身を投じたくないなぁ。◉晩年の宮本武蔵。若き日にレジャーを楽しまず、生き方を間違ってしまった後悔は(五輪書に)書き残さなかった(と表現する)。そしてそんな書をありがたがる者たちを鼻白むところは作者の真骨頂。このたった6ページ掌編の凄みたるや。2019/04/23
おーすが
11
別の本でも読んだが水木しげるの熊楠はいい。昭和天皇に愛された豪放磊落さ。二部は、水木しげる自身が出会った濃すぎる人たち。なんといってもインパクトはなめちゃん…。吸血鬼の話はこうして生まれたのか。三部は、空気を読む剣豪・宮本武蔵。意外にしっくりくる。品位や貫禄は満腹な胃袋に備わる。なーほど。2020/08/07
齊藤 尚哉
4
戦後を記録したような。考えさせられる内容。2024/01/19