内容説明
中国から復員してきた“タイちゃん”、その日暮らしのカツギ屋から再びカツドウ屋に。吉村公三郎、新藤兼人の独立プロ作品で人気者になり、敬愛するイキな東京無宿者、川島雄三監督の淫らな遊びの会に出かけ、今村昌平監督の土性骨にふれる。「オンナを縛って攻めるのは好きやけど、自分の精神や肉体を縛られるのは、まるっきりキライヤ」。国やら家族やら、どうでもえがなあ、という天性のあなあきい役者は文章も天衣無縫だ。
目次
最後の鉄腕
安城家の舞踏会
追跡者
愛妻物語
ノン・タイトル
原爆の子
狼
銀心中
わが町
裸の島
オンボロ人生&白か黒か
人間
文庫版解説 リベルタン―無頼派の自由思想家(長部/日出雄)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ともたか
10
「とのやま」といえばそういう名前の居酒屋が大船にありますなあ。 以前は鎌倉にもあったっけ。一説によると、、、、、、。まあいいか。 飲みに行ったって下さい。やきとり、旨いよ。2017/03/25
章魚 たこ
2
「この地球上に、おれヒトリだけが生き残ってる夢を見た。うれしかったのなんのって。あの忌まわしい女たちが、みんな死んでくれたのかと、それがうれしかったのだ。地球上にヒトリになれば孤独である。しかし、地球上に人間がウジャウジャしてる現在でも孤独なんだから、それは孤独の延長にすぎないのであるから、なんてこともないわい。」蓋し名言! 僕もフツーに孤独です。初めて「フツーに」なんて使ってみました。ほんとに初めてか、バカヤロウ!(殿山風に)2019/06/16
ishii.mg
1
戦後の映画界のこと、黄金期の名監督たちとの交情、役者仲間のドタバタなエピソード、JAZZやミステリへの造詣、そしてなによりオンナたちとのめちゃくちゃな話、ごちゃまぜの文体リズムで最高だ。テイゾクに走るかと思えば林達夫や金井美恵子まで登場してくる。それにしてもよく断酒できたもんだ。えらい。再読だけど、タイチャンエッセイは中毒性があるなア。まだ何冊か在庫があるから楽しめる。2023/08/08
ひねもすのたり
1
PART2では殿山泰司が活躍した戦後の芸能界について語られています。 特に映画に関しては黎明期から隆盛を極めた昭和30年代前半。さらにはTVに押されて衰退していく過程までを独特の視点で語っています。 2012/04/08
ウテオンマ
0
ああこの文体誰かに似てる・・と思ったら、町田康!PART1文庫版の解説も書いてるそうですね。アラフィフにとっては、ドラマの名脇役の殿山さんの姿が目に浮かぶところです。海外ミステリー通としてもならした彼らしく、エロネタ・呑みネタの間にアーサーヘイリーを読みながら寝る・・と挟んだり、戦中・戦後の「カツドウヤ」の生き様が見えるエッセー集。新藤兼人作品も見たくなります。2017/09/12