出版社内容情報
人の血を吸って育つ吸血木、霧や雨となってどこへでも現れる水神……不思議な力を持つ妖怪たちやニセ鬼太郎を相手に、鬼太郎親子が大活躍!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おーすが
17
牛鬼から始まり吸血木、地獄の一丁目を通って水神にあいにゆき、ニセ鬼太郎は溶けて人狼は殺されるが、がめついねずみ男は最後まで生き残る。論理と非論理が溶け合う魅惑の妖怪ワールド。鬼太郎は髪を丸ごと操れるんだなあ。わるいやつほどよけいに飯をくう。2022/05/12
conegi
9
幼少期に読んだ時は軽いトラウマとなったものだが、今読むと鬼太郎やねずみ男の人間臭さが楽しい。タバコを吸ってヒッピーとつるむ鬼太郎、ひたすら人生を楽しむねずみ男、改心後はより図々しくなるニセ鬼太郎。妙に達観している寝子さんも魅力的だ。欲に駆られて水神を怒らせ、日本が水没するエピソードが大好き。鬼太郎は週刊実話連載など、大人向けの方が楽しいな。2022/05/16
まさ☆( ^ω^ )♬
8
何度読んでも面白い!ヒーローの鬼太郎よりも、本作の鬼太郎の方が人間臭く、自由奔放な子供らしくて好きですね。以前に持っていたはずの本書、多分売ってしまったかで再購入でした。今度は永久保存にします。水木しげる漫画、他にも色々と読み直したいと思いました。2023/01/10
T.Y.
7
本作の鬼太郎は人間に育てられていた時期があったり、学校に行ってみたり、金貸しの取り立て屋として働こうとしたりと、かなり人間社会に根付いて生きている。騙されたり失恋してやさぐれたりと人間味も強い。冒頭は牛鬼の復活から始まるのだがそれはすぐに吸血鬼と相討ちになり、中盤はニセ鬼太郎を巡る話になるが、最後はねずみ男&人狼を敵として追い詰める…と、全体を貫く要素は希薄な、繋がった連作風の仕立て。なお本作の猫娘・寝子はかなりの美少女だが、中盤の退場でやや残念。共演の人狼(こっちが元ネタ)とネタ被りという面もあるが。2016/08/27
のがわ
6
1960年代、青林堂「ガロ」誌に連載された「ゲゲゲの鬼太郎」異聞。鬼太郎は得意技をもたず人間的なモラルも無いが、そこにある種の自由さを感じるとともに異質な者の持つ薄気味悪さも感じる。 本作で鬼太郎がもつ不思議な力とはあの世とこの世の境界を自由に行き来する能力なのだが、それは作者自身の生と死のぎりぎりの境を生き残った体験から得た人間の生の本質なのかもしれない。読者も作者のメッセージを無意識に受け取り、生者の世界でいぎたなく振る舞う鬼太郎やねずみ男の姿に胸すき喝采をおくるのである。2015/07/16