内容説明
富山県のイタイイタイ病と同じ病気が東邦亜鉛鉱業所のある対馬でも発生していると知って、1969年8月、著書は対馬に渡った。しかし、対馬樫根部落の住民は一致団結して病気の存在を否定し、マスコミの取材を拒否しつづけた。いったい対馬に公害はあるのかないのか、もしあるとすればなぜ隠そうとするのか。一企業が住民に行ったおそるべき支配構造の実態を把えた迫真のドキュメント。
目次
1 尾行者たち
2 イタイイタイ病発生
3 やってきた東京資本
4 レントゲン写真の行方
5 2つの鉱毒運動―対馬・安中
6 壊滅した第一組合
7 「カドミウムは怖くない」
8 公害対策特別委員会
9 送られてきた手紙
10 大団円
資料「鉱害始末記」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
根室
2
生活のために、島に起きた公害病を一丸となって否定する対馬の部落の住人。彼らと対立しながらも一人取材を続ける鎌田さん。対立してるからなかなか話は聞きだせないし、どこに行くにも住人の監視を受けてしまう。読んでいて場の緊張感とか著者のいらだちが伝わってくる。でもこれを乗り越えて得たものはいっぱいあったろう。 後半は議事録みたいなのが多くて、そこは読みにくいので適当に流し読みした。つい最近、富山県でカドミウム汚染農地が復元されたそうで、作業に33年かかったとか。企業活動の責任の重さを考える2012/03/24
だいぱん
0
徹底した取材によって浮かびあがるノンフィクションライティングは、答えありきのそれではない。嫌な顔をされても、果敢に挑む取材は真実を求めてやまない鎌田氏の原点を見ることができる。連綿と続く、あらゆる社会問題の根底には古い共同体と近代的資本主義システムの衝突の存在があることを、既に鎌田氏はかっ破していた。2017/01/03
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