内容説明
転生と新たな文学の発見―「紫大納言」「イノチガケ」「真珠」「朴水の婚礼」他23篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんすけ
15
1936年から1947年までの小説作品が収録されている。間に1945年の敗戦が含まれる。 安吾の名を不朽にしたエッセー「堕落論」が上梓されたのが1946年だから小説作品にもそれを反映したものがあるかと期待したが、それは裏切られた。 最も小説は作家の意思の直截な表明でなく、小説形式に加工された上で昇華された結果だから其々の公表を平行に観るのは無理がある。 本巻は、意欲作だった「吹雪物語」が失敗に終わったことを安吾が厳しく受け止め、新たな挑戦を開始した実験的な作品が収録されていると見たほうが正しいと思う。2020/08/10
まちゃ
4
『閑山』が好きです。団九郎狸が可愛らしい…!蕎麦を打たせるって…仏道修行において人間より狸の方が真面目に取り組んでいると皮肉ったお話になってました。2017/06/24
じゃがポテト
0
坂口安吾の文章は、人の感情の流れを不自然無く描く。また、ある場面、条件に置いて感じる言葉にするほどではないけれどその後の言動に大きな影響を与える感情を上手に言葉に出来る。日々の内省がそれをさせているのであろうが、生まれ持った才能でもあるのだと思う。2013/04/25
はるぴょん(ひらた)
0
「木々の精、谷の精」はこの本を読むまで全く知らなかったが、安吾独特の水の比喩が生かされた美しい作品だと思う。自伝的な作品の二十一も良い。この第3巻は習作的作品で占められているという印象だったが、そのぶん普通の単行本では読めないような作品が多く、面白く読めた。2022/11/28