内容説明
戦前、爆弾三勇士は庶民の英雄であった。上海事変のなかで、敵陣に運びこんだ爆弾とともに「天皇陛下万歳」の一声を残し、自らの身を散らせた三勇士、軍国主義日本はいかにして神様にしたてあげたのか。それによって何をしようとしたのか。日本の社会と歴史の底を流れる生活と思想の源流をつきとめようとする著者が、自らの宿命の課題として迫った力作。
感想・レビュー
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Ikuto Nagura
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松本健一『日本の失敗』から、日本が戦争に突き進んだ理由を考えたが、私たちの精神的な貧困と無知が原因だったんだね、きっと。「憂国者たちの重苦しい不安と焦燥、不吉な予感にみちた斜陽日本の悪夢、それらすべてが、文字どおり“轟然タル爆音トトモニ”忽ち雲散霧消し、神州の不滅と不敗の再確認という、この上なく偉大な突破口が開かれたのである」こんな感じで祭り上げ、有名になれば「ありゃ、四つや、エタに死場所を与えてやったのや、エタにああいうことをいいつけてやると喜んで死ぬんや」と出る杭を打つ。現代でも同じ光景を見る気が…。2016/02/16