内容説明
自分の頭蓋骨をとりだした男の話、患者に模した蝋人形で患部を治療する医者の話、賭ルーレットの数字をピタリと当てる男の話等々ナンセンスの中にアブノーマルなグロテスクさの満ちた短篇群。現代イタリア作家の中で最も評価することの難しい作家といわれる、異才マッシモ・ボンテンペルリの戦後初のまとまった短篇集。まことに奇妙キテレツ・痛快な一冊である。佐々木マキの挿画入りで贈る、文庫版オリジナル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
113
怪奇小説に分類したのですがちょっと違うような気もします。ふしぎな味の小説とはまた異なって不気味さもある気がします。私はイタリアの小説家のイタロ・カルヴィーノやブッツァーティの系統の作家ではないかと思われます。アンソロジーでいくつか読んだことがあることのような作品集があって楽しんで読みました。ただ好き嫌いが出る作家ではないかと思われます。2017/09/12
H2A
15
摩訶不思議な、という形容が合いそうな短篇集。例えば『恋人のように』 こんな不思議な男女の「戯れ」を考えた人は思いつかない。日本でなくても本国イタリアでもあまり有名ではないらしい。経歴もだし作風も本当に唯一無二かもしれない。そうした奇想ものだけでなく、散文詩のような小品もあったりで一筋縄ではいかないらしい。2025/06/06
ヴィオラ
4
基本、どれも変な話なんで、嫌いじゃないんだけど…。平気で嘘をつく、自分に言い訳しながら悪い事をする、目の前で人が不幸になってもしらんぷり、等々、どうも主人公が嫌な感じで、読んでて何だか落ち着かない…(;ω;)少なくとも、解説や粗筋にあるような「ユーモア」や「痛快さ」は感じなかったなぁ。2012/05/06
meg
3
まかふしぎ。好きな世界観。2022/12/02
ハルバル
3
怪奇系のアンソロジーでいくつかの作品は読んでいて、ファシズムに関与して戦後に黙殺された経歴を先に知っていたので、こんな話を書く人なのかと意外だった。実は「マジックリアリズム」と似た概念の提唱者でもあります。だから夢と現実を巧みに融合させているのかと思いきや、超展開の連続で、壮大なホラ話といった感じ。笑っていいのか呆れていいのか、読後の空中への放り投げられるような感じはなかなか他にないのでは。軽い筒井康隆を思わせるユーモアセンスだなと思った。2017/04/11
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