ちくま文庫 あしたのジョーは死んだのか

朝稲 日出夫【著】〔アサイネ/ヒデオ〕

筑摩書房（1988/01発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 185p／高さ 15X11cm
• 商品コード 9784480021960
• NDC分類 913.6

内容説明

日雇いの肉体労働に、合気道の激しい練習に、肉体をとことんまでしぼり上げる日々。体を動かすことを通して、死を見つめ、生きる力を獲得してゆく現代青年の姿を乾いた筆致で描く表題作。ヨーロッパでの、娼婦たち、女友達、無垢の少女たちとの交感を通して生の一瞬を鮮やかに切りとった「少女微笑」を併せ収める。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[horuso]

13歳で単行本を読んで多分わからず、23歳のとき文庫化を機に再読してガツンとやられた。それから博士課程を中退するまでの6年ほどの間に何度読み返したことか。20代ではもっとものめり込んだ小説かもしれない。今思うとあの頃ジムに通ったのは肉体派の史郎への憧れからだった気がする。まだ自分が何者かもわからずもがいている若者にはいまでも響く作品ではないだろうか。併録の少女微笑（みしょうと読むのかなやはり）の世界も当時痛切にわかったはずだが、今は少し遠い。ウィーンやエーゲ海の小島ですれ違った少女たちの笑顔を思い出した。

2020/11/20

[半木 糺]

「あしたのジョー」という書名に惹かれて購入した作品。高校を卒業後、日雇い労働を行いながら、合気道の練習に勤しむ若者の姿を描く。主人公は日雇い労働と合気道の練習の中で肉体を痛めつけた果てに、新しい風景を目にする。そして、世界にその身を踊らせようとするところで物語は終わる。一風変わった青春小説という印象。

2014/11/26